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4月の歌──Sometimes It Snows In April



 プリンス&ザ・レヴォリューションの「Sometimes It Snows In April」(1986)。4月をテーマにした名曲はたくさんあるが、ひとつ選ぶとしたらこれしかない。

 トレイシー(『アンダー・ザ・チェリー・ムーン』でプリンスが演じた主人公クリストファー・トレイシー)の死をテーマに、人生の諸行無常を歌ったジョニ・ミッチェル風情のフォーキーなバラード。繊細で幻想的なアコースティック・サウンドはウェンディ&リサの貢献も大きいように思われる。「1999」の一節、“人生なんて所詮はパーティー/パーティーにはいつか終わりが来る(Life is just a party, and parties weren't meant 2 last)”が形を変えて再び登場する点にも注目したい。「1999」と対を成す、レヴォリューション時代の最後を飾る名曲。後から思えば、この歌はバンドの解散を予告するものでもあった。ここで(某ロック・スターのように)自分の死を看取ったプリンスは、翌年、また別の顔、別のサウンドと共に姿を現すことになる。

 昨年の5月に始まった連載“〜月の歌”も今回で一応完結。これでどうにか12ヶ月分の歌が揃った。良いネタを探すのに苦労したこともあったが、毎回その月に因んだ歌を取り上げて和訳する作業はとても楽しかった。不定期連載として、今後も時折、季節の名曲を紹介できればと思う。

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3月の歌──Waters Of March



 一年の中で最も見つけにくいのは3月の歌である。“March”というキーワードで検索すると、題名や歌詞内にこの語を含んだ歌が無数に発見できるのだが、そのほとんどは“行進”の歌である。たとえば、単純に“March”と題された歌があった場合、“行進”なのか“3月”なのか曲名だけでは判断できない(昨年このブログで取り上げたジョージ・タンディ・Jrの「March」はまさにそれだ)。探すこと自体も大変だが、この紛らわしさがあるため、英語圏にはそもそも3月の歌が少ないような気がする。3月を歌った英語の歌をあなたは一体いくつ知っているだろうか(知っていたら教えてください)。

 今回は私が知る極めて数少ない3月の歌のひとつを紹介する。アントニオ・カルロス・ジョビンが書いた「Waters Of March」(1972)。ボサノヴァの名曲中の名曲として昔から知られる作品である。ジョビン自身によってポルトガル語と英語の両ヴァージョンが書かれ、英語圏の歌手にもさかんに歌われてきた。ジョビンによる自演版(ポルトガル語版英語版)は『JOBIM』(1973)、問答無用の決定版であるエリス・レジーナとのデュエット版は『ELIS & TOM』(1974)、エリス・レジーナの単独版は『ELIS』(1972)に収録。

 南半球のブラジルで3月は夏の終わりの雨季に当たり、豪雨による水の被害が頻発する(北半球の9月に相当。日本の台風時期のような感じ)。その光景に触発されて書かれたこの歌では、小枝、石ころ、ガラス片といった雨季の典型的な漂流物をはじめとする様々なもの/こと/イメージが、まさしく水に流れるように次から次へと連なっていく。北半球向けに書かれた英語版において、意識の流れ/自由連想的な言葉の羅列は、時折ネガティヴな方向へ流れつつ、最終的に春の訪れを予感させる“waters of March”へと繋がっていく。

 生命力がビンビンに漲ったジョビンやエリスのヴァージョンも良いが、ここで取り上げるのはアート・ガーファンクルの2ndソロ作『BREAKAWAY』(1975)に収録されている英語版(ジョビンの英語版とは歌詞の構成が若干異なる)。英語圏のアーティストによるカヴァーの中では、このガーファンクル版が最も広く親しまれているものだろう。愛嬌のある独特のソフトな歌い口は、ボサノヴァの世界とも相性が良い。ジョビンの自演版に忠実なカヴァーだが、英語版に関して言えば、たどたどしいジョビン節(まあ、それが良いのだが)よりも、ガーファンクルの力の抜けた洒脱な歌唱が個人的にはベストだと感じる。NHK〈みんなのうた〉で流れてもおかしくない(?)、普遍的な魅力を持つ名ヴァージョンだ。

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2月の歌──February




 “2月の歌”として紹介するのは、ニュージーランドのエレクトロニカ〜音響系アーティスト、ライアン・シーハン Rhian Sheehan の「February」(2011)。冬の広大な大地を思わせるシューゲイズ・サウンドと、徐々に立ち現れる幽玄なストリングスの調べは、やがてこの世に息吹く新たな生命を予感させる。これは冬眠の深い眠りの中で見る夢なのか。この神秘的な曲は『SEVEN TALES OF THE NORTH WIND』というEPに収録されている(Bandcampで投げ銭リリース)

 いつもは歌詞を訳出するのだが、今回はインスト曲なので和訳はお休み。美しい音響に包まれ、静かな心で春を待ちたい。

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1月の歌──June In January




 昨年の5月から“〜月の歌”という連載を地味に続けている。毎月、その月に因んだ歌をひとつ取り上げて和訳し、季節の移り変わりを感じようという企画である。最低でも1年は続けるつもりで始めた。基本的に題名や歌詞内にその月の名称が織り込まれた歌を選んでいるが、中にはあまり人気のない月もあって、いい歌を探すのが難しかったりする(ネタに困らないのは4月と9月。このふたつの月は人の心を強く刺激するようで、昔から名曲がたくさんある)

 1月は歌の題材にされることが極めて少ない月のひとつである。1月を歌った歌もあるにはあるのだが、個人的にあまり取り上げたいと思うような作品がない。さて、どうするか。困った私は、ここで切り札を使うことにした。シャーデーやマラ・ルビーも歌った「Cry Me A River」で有名な美人歌手、ジュリー・ロンドンのアルバム『CALENDAR GIRL』(1956)である。1〜12月に因んだ歌を順番に1曲ずつ収めたコンセプト・アルバムで、ジャケットではジュリー・ロンドンがカレンダーガールに扮し、月ごとに様々なコスチュームに身を包んでお色気を振りまいている。12曲入りかと思いきや全13曲入りで、最後に「The Thirteenth Month(13月)」という歌が登場するなかなか洒落たアルバムでもある。“〜月の歌”の連載を始めた時、ネタに困ったらこのアルバムの収録曲を取り上げればいいと私は思っていた。

 「June In January」は『CALENDAR GIRL』の冒頭を飾る1月の歌。もともと『わが胸は高鳴る(Here Is My Heart)』(1934)という映画でビング・クロスビーが歌ってヒットさせ、後にスタンダード化したポピュラー・ソングである。ジュリー・ロンドンのスモーキーな歌声は、極寒の1月にまるで暖炉の火のような温かみを感じさせてくれる。色んな意味で有り難い1月の歌だ。

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12月の歌──I Think It Was December




 2014年も残り1ヶ月。このブログも大掃除をして、書けていない記事を一気に片付けてしまいたいところだが……掃除中に見つけたあれやこれで脱線し、結局、何も片付かないような気もする(私は掃除が苦手なのだ)。

 “12月の歌”はプリンスのあの曲とこれの二択だったのだが、最終的に自分がより好きな方を選んだ。ウェンディ&リサの2nd『FRUIT AT THE BOTTOM』(1989)収録の「I Think It Was December」。ウェンディの少女のようなヴォーカルがとてもチャーミングなゴスペル調ナンバーだ。'11年にリマスター再発された同アルバムのブックレットには本人たちによる全曲解説が掲載されていて、リサ曰く、この曲はバート・バカラック楽曲を歌うディオンヌ・ワーウィックに触発されたものだという(思い出のアルバムとして『HERE I AM』を挙げている)。ディオンヌの上品なゴスペル・テイストと、ウェンディ&リサ特有の、まるでシャガールの絵のように幻想的で色彩豊かな世界観──レヴォリューション時代のプリンス作品を大いに支えた──が融合し、アメリカ版「翼をください」とも言うべきこの名曲が生まれた。クリスマス時期にぴったりの、本当に素敵な歌だ。私も散らかりっぱなしの部屋から飛び去りたい……。

 では、メリー・クリスマス!

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