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Sinead O'Connor──君の墓に臥して



 前回のFデラックス来日公演鑑賞記の中で、シネイド・オコナーについて少し触れた。優れたアーティスト/歌手である一方、彼女は昔から過激な言動や奇行で世間を騒がせてきた特A級の“問題児”であり、そのせいで肝心の作品があまりまともに顧みられないちょっと不遇な人であると思う。プリンスとは犬猿の仲だったシネイドだが、私はプリンスの信奉者であると同時に、彼女の作品も高く買う音楽ファンである。全盛期の彼女を知るリスナーは少なくなる一方だと思うので、ここで1曲、彼女の凄さがよく分かる作品を紹介しておきたい。「Nothing Compares 2 U」(これについてはいずれ改めて書く予定)を含む彼女の2ndアルバム『I Do Not Want What I Haven't Got』(1990)に収められている「I Am Stretched On Your Grave」である。

 この曲はシネイド・オコナーが書いたものではない。原典は17世紀にアイルランド語で書かれた作者不詳の古い詩「Táim Sínte ar do Thuama」。これをアイルランドの作家、フランク・オコナー(1903〜66)が「I Am Stretched On Your Grave」として英訳し、更に'79年、アイルランドのフォーク・ロック・バンド、スカリオンのフィリップ・キングがそこにメロディをつけて楽曲として完成させ、彼らのデビュー作『Scullion』で発表した。シネイドの作品はそのカヴァー版に当たる。「Nothing Compares 2 U」と同様、彼女が歌ったことでこの曲は広く知られるようになり、以後、ヴォイス・スクワッド、デッド・カン・ダンス、ケイト・ラズビーなど、様々なアーティストに取り上げられるようになった。

 フランク・オコナーの英訳詩が過去に邦訳されたことがあるか私は知らない。また、私は『I Do Not Want What I Haven't Got』を輸入盤でしか持っていないので、日本盤にどのような対訳が載っているかも知らない。以下は、アルバムに添付されている原詩のみを参照した拙訳である。とんでもなく切ない歌だ。

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| Diva Legends | 04:00 | TOP↑

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fDeluxe @ Billboard Live TOKYO 2016



 ラヴ・デラックスなマックスウェルを観た2週間後、今度はfデラックスを観た。
 
 fデラックスとは……という前書きは書くのが面倒くさいし、読む人も面倒くさいと思うので端折る(どうせプリンス・ファンしか読まないだろうし)。“A tribute to Prince: fDeluxe (formerly known as The Family) featuring former members of Prince & The Revolution, The Time and Madhouse”という公演名は、3年前の“Stuart Matthewman from Sade presents Twin Danger”を余裕で超える長さだ。それくらい言わないと分かってもらえないfデラックス。何にせよ、来日公演が実現して嬉しい。

 プリンスの他界後、キング、チャカ・カーン、ニック・ウェスト(with ジョン・ブラックウェル)、ラリー・グレアム、キャンディス・スプリングス、キャンディ・ダルファー、ジョージ・クリントンなど、彼と縁のあるアーティストの来日公演が目白押しだが、中でもプリンス・ファンにとって最大の注目が、今回のfデラックス初来日公演だろう。他はいずれもプリンスが存命でも来日したはずだが、彼らの来日は、プリンスの死がなければあり得なかったという点でも特別だ。

 公演の10日前、バンドの顔でもあるスザンナ・メルヴォインの出演が“個人的な家庭の事情”により急遽キャンセル、スザンナも色々大変なんだな……と思ったら、全く同時期にミネアポリスでザ・レヴォリューションの同窓会に参加していた、という話は過去記事で書いたので繰り返さない。スザンナのドタキャンによって、ソールドアウトだった公演には若干席の余裕も出たが、彼女の不在などお構いなしに、会場のビルボードライブには多くのパポピ(パーポーピーポー)が詰めかけ、まるで1999年か1985年のような熱いパーティーが繰り広げられたのだった。

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| Man's Man's Man's World | 21:00 | TOP↑

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お知らせ:凍結記事復刻について

 '16年8月1日、当ブログの過去記事のいくつかが凍結され、閲覧不能になった。某協会から著作権侵害の連絡を受けたことによるfc2の処置である。fc2を利用しているブロガーはご存じかもしれないが、同日、主に音楽関連のトピックを扱う多くのfc2ブログで同様の記事凍結があった。具体的に記事のどの箇所が著作権侵害に当たるのか、fc2からの連絡メールには明記されていない。

 凍結された拙記事は以下の4本。

記事番号/記事タイトル/カテゴリー/投稿日
#216 楽園 | Songs | 2012.08.17
#230 何ものも僕らを引き裂けない | Man's Man's Man's World | 2012.11.22
#378 Michael Jackson──リズムの奴隷 | Michael Jackson | 2014.05.13
#471 Nina Simone──私は自由 | Diva Legends | 2015.03.16

 一応、リンクを張ったが、アクセスしてもfc2のメッセージが表示されるだけで、記事は閲覧できない。これらの凍結記事(ブログ管理者は記事の編集画面のみ閲覧できる)は、問題があったと思われる箇所をテキスト内から削除した上で、新たな記事番号(URL)で投稿し直した。但し、投稿日時を元と同じに設定したので、URLは変わったが、ブログ内での時系列上の位置は前と変わっていない。

 新たなURLは以下である。

#601 楽園 | Songs | 2012.08.17
#602 何ものも僕らを引き裂けない | Man's Man's Man's World | 2012.11.22
#603 Michael Jackson──リズムの奴隷 | Michael Jackson | 2014.05.13
#604 Nina Simone──私は自由 | Diva Legends | 2015.03.16


 私はこのブログで一銭も稼いでいない。音楽ファンとしてそれなりの倫理観をもって記事を投稿しているつもりだが(ネット上における歌詞や画像の掲載、また、翻訳行為については、営利目的でない批評の範囲内であれば、ある程度は容認されるべきだと思う)、それで今回のような問題が起き得ることも承知している。今後、同様の凍結が続くようであれば、fc2からの撤退を考える。

| Blog Information | 22:15 | TOP↑

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600回記念 Stronger Than Paradise #501〜599



 600回。というわけで、例によって前99回分の記事インデックス。

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Prince──ヒトデとコーヒー



 『Sign "O" The Times』(1987)の6曲目「Starfish And Coffee」。“ヒトデとコーヒー”なる奇妙なタイトルを持つこの曲は、シングル曲ではないが、同アルバム収録の「The Ballad Of Dorothy Parker」と同じく、昔からプリンスのファンの間でとりわけ人気の高い1曲だろう。

 NHK〈みんなのうた〉で流れてもおかしくない、ほのぼのとしたムードを持つこの歌は、プリンスと、当時、彼の恋人でもあったスザンナ・メルヴォイン──ウェンディの双子の妹──によって共作された。歌詞は、スザンナの小学校時代の同級生だったシンシア・ローズという実在の少女について書かれている。シンシア・ローズは、クラスの他の子たちとは全く違う、まるで別の星からやって来たような変わった子だった。プリンスは、その子に関するスザンナの回想をもとに「Starfish And Coffee」を書き上げた。

 '15年末、スザンナは「Starfish And Coffee」が書かれた詳しい経緯を、プリンスのファン・サイト、Housequake.com(かつて世界的な人気ファン・サイトのひとつだったが、権利問題でプリンス側から通告を受け、'09年に閉鎖。現在はフェイスブックへ移転)に語っている'15年12月16日投稿。その「Starfish And Coffee」誕生秘話は、半月後にスザンナ自身のフェイスブックに転載され'16年1月2日投稿、更にその後、テキストに若干の手直しを加え、'16年6月、スザンナが開設した「Starfish And Coffee」グッズの通販サイト(後ほど詳述)に掲載されることになった。シンシア・ローズに関するその話は大変面白く、同時に、静かな感動を読み手に与える。この話を読んで、私はこの歌が一層好きになった。プリンスのファンでなくとも一読の価値がある素晴らしい文章だと思う。

 以下、スザンナの通販サイトに掲載されている「Starfish And Coffee」誕生秘話の全訳に加え、同曲の歌詞を訳出する。あなたもきっとこの歌が更に好きになるはずだ。

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| Man's Man's Man's World | 00:20 | TOP↑

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Prince──愛はビザール



 プリンスの他界以来、“自分が好きなプリンスの曲トップ10”をずっと考えている。どこかに提出しなければいけないわけではないが、真剣に考えている。自分にとって重要なことなのだ。ファンはみんな“プリンスのマイ・ベストなんとか”をあれこれ考え続けているのではないだろうか。

 私のフェイバリット・プリンス・ソングズの1位は「When Doves Cry」、2位は「Sign "O" The Times」。この2つは不動である。3位と4位の2曲は、どちらを上にするかでずっと悩んでいる。ひとつは「Raspberry Beret」、そして、もうひとつが今回和訳する「A Love Bizarre」である。

 シーラ・Eの2nd『Romance 1600』(1985)収録のプリンス制作曲。私の“フェイバリット・プリンス・ソングズ”はプリンスの自作自演曲が選考対象で、バングルズ「Manic Monday」のように、彼が他のアーティストに提供した曲は原則的に含まれないのだが、これは例外。「A Love Bizarre」はプリンスとシーラの双頭ヴォーカル曲だし(むしろプリンスの方が前に出ている)、プリンスも自分のショウでしょっちゅう演奏していたからである。'86年〈Parade〉ツアーでは、この曲で前座のシーラ・Eがステージに迎えられ、プリンスとのデュエット・パフォーマンスが繰り広げられた。

 長尺のスタジオ録音も良いが、最高なのは、何と言ってもシーラ・Eのライヴ映像作品『Live Romance 1600』('86年3月8日、サンフランシスコ公演。プリンスの'86年6月7日デトロイト公演映像とセットでDVD化を!)に収録されているプリンス&ザ・レヴォリューションの客演ライヴ版である。その10分間のどファンキーな映像には、プリンスのライヴ・パフォーマンスの魅力がぎっしり詰まっている。加えて、パーティーをやりに仲間のステージに“乗り込んできた”感が何ともカッコいいのである。これぞパーティーマン=プリンスの真骨頂だろう(あまり大きな文字では書けないが、私は8年くらい前にこのライヴ映像をYouTubeに上げ、チャンネルごと吹っ飛んだことがある。“Prince”とはどこにも書かなかったが、3ヶ月くらいでNPGに見つかった)。この「A Love Bizarre」、もしかすると“私の好きなプリンスのライヴ映像、曲単位部門”の2位くらいに入るかもしれない。

 プリンスの来日公演会場へ向かうとき、私の頭の中にはいつも「A Love Bizarre」が流れていた。'02年の武道館公演のアンコールで、突然この曲のリフが聞こえてきたときの感動はいまだに忘れられない。「A Love Bizarre」は、私にとって“ライヴで聴きたいプリンスの曲”ナンバー1なのだ。

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Prince──ホカニコイビトキミニムヨウ



 9月……と言えば、この写真(かつて西新宿に通った人にしか分からない前振り)
 
 今年はビートルズ来日50周年だが、同時にプリンスの初来日30周年でもある。今から30年前の'86年9月3日午後4時20分、プリンス一行26名はエールフランス274便で大阪国際空港に降り立ち、9月5日から9日にかけて、大阪城ホールと横浜スタジアムで計4回の初来日公演を行った。そして、彼のバンド、ザ・レヴォリューションは、〈Parade〉ツアーの千秋楽でもあった9月9日、横浜スタジアムでその歴史に幕を下ろした。

 と言っても、プリンス自身がステージ上で解散宣言をしたわけではないので、9月9日の当日、横浜スタジアムの観客がその事実を知ることはなかった。その日でバンドが終わりだということはメンバーたちですら知らなかったが、最終曲「Purple Rain」が終わったとき、ステージにはそのことを悟った者もいた。ウェンディは後にこう語っている。

「ステージで彼は〈Purple Rain〉のギターをわざと壊した。私とリサは顔を見合わせて“終わりだ”と思ったわ。彼は姿を消した。その後、彼がビバリーヒルズに借りてた家に2人とも電話で呼び出されたの。夕食をとりながら彼は言った。“僕が次にやろうとしてることは君らとはできない。僕らは行けるところまで行ったと思う。君らと別れなきゃいけない”。私たち2人は“は?”みたいな。その晩はボビー(・Z)も一緒に呼ばれてた。私たちはさっぱりわけが分からなかった。もっとずっと長くやれると思ってたから。彼に付いていくつもりだったのよ」(29 April 2016, StarTribune.com)

 音楽界に革命を巻き起こしたプリンスのパレードの終着点が、ここ日本だったという事実は、私たち日本のファンにとってとても感慨深いものである。今日は、伝説の初来日公演30周年を記念して、当時のアルバム『Parade』(1986)から1曲、私のフェイバリット・ソングを和訳することにしたい。いま聴くと、この歌は不思議と私たちの心情を代弁しているように思える。まったく彼の言う通りだ。一体、彼以外に誰がいるのか? 他に恋人など、私たちには無用なのだ。

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