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Nat King Cole──自然の子



 クレイグ・マクディーンが撮影した美しいスーツ姿のベンジャミン・クレメンタイン前回記事参照)を眺めるうち、ナット・キング・コールを思い出した。スクリーミン・ジェイ・ホーキンスやジャン=ミシェル・バスキアを彷彿させる佇まいのベンジャミンだが、彼はナット・キング・コールの無頼版のようでもある。

 ナット・コールの代表曲「Nature Boy」(1948)は、いかにもベンジャミンが歌いそうな曲だ。説話風の啓示的な歌詞と魔法のように美しいメロディを併せ持つこの名曲は、これまで数多くの歌手に歌われてきたが、ベンジャミンほど相応しい歌い手はいないのではないか。遅かれ早かれ彼はこの曲を取り上げると思うので、ここであらかじめ歌詞を訳しておきたい。

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| Man's Man's Man's World | 04:45 | TOP↑

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Benjamin Clementine──文句はない



 ベンジャミン・クレメンタインの「I Won't Complain」を和訳する。3曲入りデビューEP『Cornerstone』(2013)に「Cornerstone」「London」と共に収録されていた曲。他の2曲と同じく、ピアノの弾き語りによる内省的なバラード。人生の辛さを歌っているが、同時に人生を肯定する歌でもある。

 この世は酷いことだらけだし、人生には多くの苦難があるが、それでも彼は“文句はない(I won't complain)”と言う。ふとした瞬間、この世の素晴らしさを実感することもあるからだ。“人生楽ありゃ苦もあるさ/涙の後には虹も出る”と似たようなことが歌われているが、ベンジャミンの語り口は説教調ではなく、ここでも自問自答、あるいは禅問答のような印象を与える。

 彼の考えとはちょっと違うかもしれないが、プリンスの多くの作品と同様、この歌もまた“生きてるだけで丸儲け”という真理に通じるような気がする。私たちは宝クジで一等に当たるよりも遙かに低い天文学的確率でこの世に生まれてきた。楽しいことも辛いことも、すべてがかけがえのない貴重な体験だ。何があろうと“人生はクソだ”などと言いたくないと思う。この歌は、そのような厭世観に対するベンジャミンなりの反駁ではないだろうか。応援歌でも恨み節でもない、泣き笑いのような彼の歌を聴くうちに、私は“悲しくて美しい世界だ(It's a sad and beautiful world)”というトム・ウェイツのつぶやきを思い出した。

 この歌に関連してベンジャミンはこうも言っている。

「困難な状況を乗り越える一番の方法は、軽く考えることだと常々思う。物事の重大さなんて見方次第だし、文句を言うなんて気儘な無頼者には贅沢なことだよ」(9 May 2016, The Fader)

 「I Won't Complain」は1stアルバム『At Least For Now』(2015)に未収録だったが(デラックス配信版にはボーナス収録。Capitolとの契約に伴ってアメリカ市場向けに代表曲を集めた'15年4月発売のEP『I Dream, I Smile, I Walk, I Cry』にも収録)、'16年5月になってひょっこり音楽ヴィデオが公開された。シュールで美しいモノクロ映像を監督したのは、最新ヴィデオ「Phantom Of Aleppoville」でもベンジャミンと組んだクレイグ・マクディーン&マーシャ・ヴァシュコヴァ。ヴィデオの創作背景について監督2人が語ったインタヴューもあわせて紹介する。

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| Man's Man's Man's World | 12:00 | TOP↑

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Benjamin Clementineの放浪の旅



 新作『I Tell A Fly』('17年9月15日発売予定)を引っ提げ、6月10日にパリから始まったベンジャミン・クレメンタインの〈The Wandering Tour〉がスゴいことになっている。7月8日に彼がバルセロナの音楽フェス〈Cruïlla〉に出演したときの最新映像をYouTubeで見てぶっ飛んだ。怪人? 怪物? エイリアン? イギリスからフランス経由で現れた裸足の吟遊詩人は、今、とてつもない何かに姿を変えつつある。

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| Man's Man's Man's World | 10:20 | TOP↑

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夢は夜ひらく──ロイ・フラー伝記映画『ザ・ダンサー』



 映画『ザ・ダンサー』を渋谷のル・シネマで観た(上映期間:'17年6月3日〜6月30日)。モダン・ダンスの祖の一人とされる伝説の女性舞踊家、ロイ・フラー Loie Fuller(1862〜1928)──昨年秋に来日したフィリップ・ドゥクフレの舞台『コンタクト』の中にも彼女に対するオマージュ場面があった──の半生を描いた伝記映画。上の写真(本人)からも察しがつくと思うが、非常に変わったダンスを創作した人である。

 実在のアーティストを描いた映画は、人物や創作の再現と娯楽性の両立が難しく、なかなか普遍的な傑作が生まれにくいが、『ザ・ダンサー』はその両要素がごく自然に結びついた素晴らしい映画だった。

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| Dance to Jazz and All That Jazz | 03:35 | TOP↑

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