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Diamond Life Video

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DIAMOND LIFE VIDEO
VHS: CBS/Fox 7091, 1985 (US)

Hang On To Your Love / Smooth Operator (Extended Version) / Your Love Is King / When Am I Going To Make A Living


 '85年に発売されたシャーデー初のミュージック・ヴィデオ集。アルバム『DIAMOND LIFE』からのシングル全4曲のヴィデオを収録する。'93年にアルバム4枚からのヴィデオ14曲を網羅した決定版ヴィデオ集『Life Promise Pride Love』(後に「By Your Side」を加えてDVD化)が発売されたため、既に用無しの感もあるが、これが実は意外に侮れない代物だったりする。


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VHS: Epic/Sony 48 2M-7005, 1985 (Japan)

 『Diamond Life Video』は日本版も発売された。アメリカ版と同様、VHSテープと同サイズの紙パッケージ仕様だが、抜けている底からテープをスポッと抜き出すアメリカ版に対し、日本版は横からパカッとフタを開けて取り出す仕組みになっている。デザインもアメリカ版とは微妙に異なる。このパッケージ、シャーデーの掌の上に曲名を配置した裏面のデザインがなかなかカッコいいと思う。全体的には日本版の方がシャープで良いが、裏面の写真と文字組みのバランスはアメリカ版の方が味がある(どうでもよろしい)。日本版のパッケージ裏面には以下の謳い文句。

  世界の注目を一身に集めている妖艶な美女シャーデー、
  待望のビデオ・クリップ集。特別インタビューも収録され、
  彼女の素顔の魅力が伝わってきます。


 '84年9月の日本デビュー当初“シャーディー”だったアーティスト名表記が、ここでは現在と同じ“シャーデー”になっている。総収録時間、23分。定価4800円。昔のビデオソフトはバカ高かった。

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素顔の魅力が伝わってくる特別インタビュー

 『Diamond Life Video』が侮れないのは、もちろんパッケージ・デザインがカッコいいからでも、定価が高いからでもない。謳い文句にもあるように、このビデオソフトにはここでしか見られないアデュのインタヴューが収められているのだ。インタヴュー映像は4つに分けられ、各曲の合間に挿入される。以下、日本版に付けられているインタヴューの日本語字幕をそのまま全て書き起こしておく。

●私はナイジェリアのイバダンの生まれで、本名は“フォラシャデ”。「無上の光栄」という意味なの。ふつう、かんたんに“シャデ”と呼んでくれるわ。それが、イギリスでは、みんな“シャデイ”と読むし、アメリカへ行くと、“シャーディ”になっちゃう。

●曲はどこにいても書けるわよ。いつも、これまでの体験がきっかけになって、曲が浮かんだり、ひらめいたりするから。毎日のありふれた出来事から、不思議な体験まで、すべて。

●あえて呼ぶなら、やはり、「ソウル」ね。これまで、無意識に受けた、さまざまな影響から、私たちだけの音楽が生まれるの。だれのまねもしないわ。バンドのみんな、同じように大きな影響を受けているもの、それがソウルなの。

●歌っていなかったら、どうなっていたか、よくわからないわ。歌のない人生なんていまは想像もできない。苦しい時もあるわよ。いつも、酒とバラの日々というわけにはいかないもの。なにか他にもやってみたいとは思うけど、他にこれといって、あこがれているものもないわ。

 インタヴューは以上で全部である。はっきり言って、あまり大したことは喋っていない。そして、短い。とても、短い。とはいえ、自分たちの音楽をはっきり“ソウル”と表明している点や、自分の名前の意味と発音について説明しているあたりはちょっと面白い。

 彼女の本名はHelen Folasade Adu。母親は英国人、父親はナイジェリア人(ヨルバ人)。このため、彼女は“Helen”という名前に加えて、“Folasade”というヨルバ人の名前を持っている。
 このインタヴューでは“Folasade”という名前が“crowning glory(至上の栄光)”という意味だと説明されている。“Folasade”はヨルバ人女性の名前としては割と一般的なものらしいので、日本人なら彼女は栄子さんなのかもしれない(……というのは2年前の1月16日のエントリーでも書いた)。

 “Sade”の正しい発音に関しては、本人の発音を参照する限り、まさしく“シャデ【sha-de】”である。これを、イギリス人は“シャデイ【sha-dei】”(“de”の部分を“day”という単語と同じく【dei】と発音)、アメリカ人は“シャーデイ(シャアデイ/シャルデイ)【shar-dei】”(間に更に【r】を発音)と読んでしまいがちだという。Epicの姉妹レーベル、Portraitから発売された'85年当時のアメリカ盤『DIAMOND LIFE』には、アーティスト名の後に括弧で“SHAR-DAY”という読み方が添えられていたのだが、これは間違いということになる。

 “シャーデー”という日本人の発音は、【r】も【i】も入らず、単純に【sha】と【de】の音で構成されるため、イギリス人やアメリカ人に較べてずっと本来の発音に近いと言える。“シャデ”、あるいは、“シャデー”でも良いと思うが、表記としてはやはり“シャーデー”が一番しっくりくるだろうか(ちなみに、“シャーディー”という日本デビュー当初の表記は絶対にヘンだ。いくらなんでも“ディ【di】”はないと思う。上記のインタヴュー字幕内で、アメリカ人の発音が“シャーディ”と表記されているのも不適切)。

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 『Diamond Life Video』日本版には、4曲分の歌詞を掲載した簡易ブックレット(二つ折りの紙切れ一枚)が入っているのだが、親切なことに、そこにインタヴューの原語の起こしも載っている。上がそのスキャン。日本語字幕はもちろん大意で、アデュは実際にはこのように話している。これを読むことによって、より素顔の魅力に近づいてしまえるというわけだ。

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ミュージック・ヴィデオ「When Am I Going To Make A Living」

 というわけで、意外に楽しめる『Diamond Life Video』。しかし、このビデオソフトがいまだに侮れない最大の理由は、素顔の魅力が伝わってくる特別インタビューではなく、何と言っても「When Am I Going To Make A Living」が収録されている点にある。

 イギリスでの第二弾シングルだったこの曲のミュージック・ヴィデオは、『Life Promise Pride Love』になぜか未収録で、'11年1月現在、『LOVERS ROCK』期までのヴィデオ作品の中で唯一DVD化が実現していない。映像自体はYouTubeで観ることもできるが、ソフト形式で手に入れることができるのは、いまだにこの『Diamond Life Video』だけなのだ。私はこのクリップがとても好きなので、さっさとDVD化して欲しいのだが、その機会は恐らく当分やって来ないと思われる('10年発表の2つのヴィデオ「Soldier Of Love」「Babyfather」は、'11年ツアーのライヴDVDが出ればボーナス収録されると思うが)。

 『Diamond Life Video』は、この「When Am I Going To Make A Living」を観るためだけでも、中古レコ屋で数百円出して拾っておく価値のあるアイテムである。



追記('11年5月)
 ヴィデオ「Soldier Of Love」「Babyfather」は、結局、'11年5月発売『THE ULTIMATE COLLECTION』初回限定デラックス版のボーナスDVD(ヴィデオ集)に収録された。「When Am I Going To Make A Living」はまたしても未収録だった(悲)。『Diamond Life Video』は依然として存在価値を失っていない。

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