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The Ultimate Collection


THE ULTIMATE COLLECTION
3LP: Epic 88697899361, 23 May 2011 (UK)
2CD: Epic 88697899382, 9 May 2011 (UK)
2CD+DVD: Epic 88697899392, 9 May 2011 (UK)


CD1: Your Love Is King (3:42) edit / Smooth Operator (4:18) re-recorded single version edit / Hang On To Your Love (4:31) edit / The Sweetest Taboo (4:27) / Is It A Crime (6:21) / Never As Good As The First Time (3:58) remix edit / Jezebel (5:26) / Love Is Stronger Than Pride (4:19) / Paradise (3:37) remix / Nothing Can Come Between Us (3:53) remix / No Ordinary Love (7:20) / Kiss Of Life (4:13) edit / Feel No Pain (5:11) / Bullet Proof Soul (5:25)

CD2: Cherish The Day (6:19) Sade remix long version / Pearls (4:34) / By Your Side (4:40) / Immigrant (3:49) / Flow (4:34) / King Of Sorrow (4:47) / The Sweetest Gift (2:20) / Solider Of Love (5:58) / The Moon And The Sky (4:29) / Babyfather (4:40) / Still In Love With You (4:26)* / Love Is Found (4:10)* / I Would Never Have Guessed (2:57)* / The Moon And The Sky [Remix Feat. Jay-Z] (4:27)* / By Your Side [Neptunes Remix] (3:59)

DVD (NTSC/Region 0): Hang On To Your Love / The Sweetest Taboo / Is It A Crime / Never As Good As The First Time / Love Is Stronger Than Pride / Paradise / Turn My Back On You / Nothing Can Come Between Us / No Ordinary Love / Feel No Pain / Kiss Of Life / Cherish The Day / By Your Side / King Of Sorrow / Soldier Of Love** / Babyfather**

*Previously unreleased, **First time on dvd
On LP, side 2 starts with 'Never As Good As The First Time', side 3 with 'No Ordinary Love', side 4 with 'Cherish The Day', side 5 with 'King Of Sorrow', side 6 with 'Still In Love With You'

Mastered: John Davis at Metropolis Studios, London
Musicians: Sade Adu (vocals, programming), Andrew Hale (keyboards, programming), Stuart Matthewman (guitars, sax, programming), Paul S Denman (bass), etc.
Photography: Sophie Muller

Still In Love With You
Written: Phil Lynott
Produced: Sade
Co-Produced, Engineered, Mixed: Mike Pela
Recorded: Real World Studios, UK
Additional musicians: Tony Momrelle (vocals), Leroy Osborne (vocals, guitar), Ryan Waters (guitar), Pete Lewinson (drums), Karl Vanden Bossche (percussion)

Love Is Found
Written: Adu/Hale/Matthewman/Denman
Produced: Sade
Co-Produced, Engineered, Mixed: Mike Pela
Recorded: Modern World Studios, UK and Real World Studio, UK
Additional musician: Ben Travers (guitar)
Orchestra arranged and conducted: Simon Hale

I Would Never Have Guessed
Written: Adu/Hale/Momrelle
Produced: Sade
Co-Produced, Engineered, Mixed: Mike Pela
Recorded: Modern World Studios, UK and Real World Studio, UK

The Moon And The Sky [Remix Feat. Jay-Z]
Produced: Noah '40' Shebib
Engineered: Noah Shebib and Noel Cadastre
Recorded: Metalworks Studios, Toronto, Canada
Jay-Z verse recorded by Gimel 'Young Guru' Keaton at Roc The Mic Studios, New York
Mixed: Noel 'Gadget' Campbell at Studio 306 Toronto, Canada
Musician: 40 (all instruments, except strings and horns by Sade)



 '94年に発売された『THE BEST OF SADE』に次ぐシャーデーのベスト盤('11年5月3日アメリカ発売、5月9日イギリス発売、6月22日日本発売)。ソフィ・ミュラー撮影による化粧品広告のようなゴージャスで美麗なカヴァー写真が嬉しい。変化球的な『SOLDIER OF LOVE』も面白かったが、シャーデーのジャケはやはりアデュの顔面アップが定石である。ブックレットではカヴァー写真のモノクロ別テイクを2枚見ることもできる。
 『THE BEST OF SADE』以降、僅か2枚しか新作リリースがないにもかかわらず、こうしてわざわざ新たなベスト盤が発売されたことには、同時期に始まる10年ぶりのコンサート・ツアー──『SOLDIER OF LOVE』発表から約15ヶ月も遅れた──に合わせて、再びバンドへの注目を集める狙いがあるように思われる。仮に『SOLDIER OF LOVE』発表後すぐにツアーが始まっていた場合、このベスト盤は企画されていなかった可能性があるので、ファンにとっては棚ボタ的な嬉しいリリースとなった。ツアーと合わせて楽しみたい豪華ベスト盤である。


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 '84年のデビュー曲「Your Love Is King」から、'10年2月発表の最新盤『SOLDIER OF LOVE』までの代表曲が時系列で並べられ、最後に本盤で初公開となる作品が4曲+既発リミックスが1曲加えられている。『THE BEST OF SADE』と基本的に同じ編纂方針で、そこに『LOVERS ROCK』以降の曲を加えたアップデイト版といった内容である。『THE BEST OF~』にシングル用ミックス/エディットで収録されていた曲は、今回も全く同じヴァージョンで収録(各曲のヴァージョン詳細については『THE BEST OF~』記事を参照)。『LOVERS ROCK』以降の曲はすべてアルバム版で収録されている。

 『STRONGER THAN PRIDE』までの曲は『THE BEST OF~』と曲順が違うだけだが、『LOVE DELUXE』期の作品に関しては、「Like A Tattoo」とサントラ提供曲「Please Send Me Someone To Love」が削られ、代わりに「Feel No Pain」「Bullet Proof Soul」が加えられた。『LOVE DELUXE』全9曲のうち、なんと6曲収録。『LOVERS ROCK』からは5曲が選ばれ(全曲ベスト盤収録に相応しい。何が選ばれてもOK)、『LOVE DELUXE』に次いで最多収録作となっている。最新作『SOLDIER OF LOVE』から3曲というのは、発売からあまり時間が経過していない点も含めて妥当なところだろう。シャーデーの歴史を一気に辿るCD2枚組。ディスク2が「Cherish The Day」から始まるのが嬉しい。

 ただ、ファンとしては不満がないわけではない。初期のB面曲やサントラ提供曲「Killer Blow」の未収録は我慢するとしても、さすがに2つ目のベスト盤なのだから、せめて「Smooth Operator」「The Sweetest Taboo」「Never As Good As The First Time」を12インチ長尺版、「Love Is Stronger Than Pride」をマッド・プロフェッサー版で収録するくらいの捻りがあっても良かったと思う。『THE BEST OF~』の存在価値も、このアップデイト版の登場により大きく下がってしまった。


シャーデー絶好調!

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'11年ツアーで披露された「Still In Love With You」

 『THE ULTIMATE COLLECTION』の最大の目玉は、言うまでもなく4つの未発表トラックである。「Still In Love With You」「Love Is Found」「I Would Never Have Guessed」という3つの新曲(いずれもシャーデーとマイク・ペラの共同プロデュース)、そして、ジェイ・Z参加の「The Moon And The Sky」リミックスがアルバム終盤に収められている。

 タイトルが一瞬アル・グリーンを思わせる「Still In Love With You」は、なんとシン・リジィのカヴァー。フィル・ライノット作、アルバム『NIGHTLIFE』(1974)収録の男泣きバラードである。シャーデーにとって「Why Can't We Live Together」「Please Send Me Someone To Love」に続く3曲目のカヴァー作品になるが、ロック・バンドの楽曲を取り上げるのは初めてのこと。意外な選曲ではあるが、シャーデーは原曲のフィーリングを残しつつ、ごく自然に自分たちの色に染め上げている。行間に感情を滲ませるようなアデュのヴォーカル、シンプルながらキメの細かい洗練されたアレンジがじわじわと胸に染み込む。レイドバックした生バンド・サウンドは「Please Send Me Someone To Love」、『SOLDIER OF LOVE』収録の「Be That Easy」「In Another Time」などに通じる。'00年代以降のシャーデー作品に顕著な枯れた味わいがあるが、同時に、かつての艶っぽさが戻っているのが嬉しい。この曲は後述の「Love Is Found」と共に'11年ツアーのセットリストにも組み込まれた。
 「Still In Love With You」は、『SOLDIER~』で使用したイギリスのリアル・ワールド・スタジオにて、「Please Send Me Someone To Love」と同じく、ツアー・メンバーをそのまま丸ごと起用して録音されている。録音時期は不明だが、ライアン・ウォーターズとカール・ヴァンデン・ボッシュが『SOLDIER~』に不参加だったこと、'10年4~12月にピート・ルウィンソンがシンプリー・レッドの解散ツアーのため不在だったことを考えると、'11年1~3月のツアー・リハーサル期間に録音された作品であるような気がする。'11年2月6日にオリジナル版でギターを弾いていたゲイリー・ムーアが他界(享年58歳)しているのは偶然だろうか。この曲が録音されたのは、ムーアの死の前なのか後なのか。発案者は一体誰なのか。尚、'11年5月25日のダブリン公演のMCで明かされているが、シャーデー・アデュの母方の先祖(アデュの6代前)はアイルランド人である。

 シャーデーのオリジナル・メンバー4人による共作曲「Love Is Found」は、今までになかったタイプの作品。ジャズ・スタンダードのようなオーケストラ伴奏と流麗な歌メロに、アグレッシヴなヒップホップ・ビートが折り重なる。ミックスのセンスはダブっぽい。そして、曲のベースとなっているリフはなぜかフラメンコ調だったりする。わけが分からない組み合わせなのだが、これが妙に自然だったりするから面白い。このハイブリッド感はマッシヴ・アタックによく似ている(マッシヴ作品にアデュが客演したらこんな感じではないか)。ジャズも、ヒップホップも、ダブも、スペインのジプシー音楽も、いずれもこれまでのシャーデー・サウンドの構成要素である。ただ、それらがここまで大胆に交配されたことは過去になかった。しかも、何の違和感もなく普通にシャーデーの音楽として聴かせてしまう。これは凄い。『SOLDIER OF LOVE』のカヴァー写真を最初に見た時、私が予想したのはまさにこういう音だった。これは『SOLDIER~』のアウトテイクなのか、それとも『SOLDIER~』発表後に制作された全くの新曲なのか。ベスト盤のおまけスペースにまさかこんな爆弾が仕掛けられているとは。枯れるばかりでなく、シャーデーにまだまだ攻めて欲しいと思っていた私にとって、これはとにかく最高の新曲である。『SOLDIER~』の1曲目がこれだったら、私は間違いなく気絶していた。

 「I Would Never Have Guessed」はシンプルなピアノ伴奏のみをバックに歌われる小曲。雰囲気的には『SOLDIER~』の「Morning Bird」に近い。修復不能の人間関係が歌われる痛切なバラード。アデュ、ヘイル、トニー・モムレルの共作曲で、モムレムがバック・ヴォーカルでハーモニーを付けてもいる。両者のヴォーカルのコンビネーションが絶品だ。

 ジェイ・Z参加の「The Moon And The Sky」リミックスは、ドレイク作品で有名なカナダのプロデューサー、ノア“40”シェビブが手掛けている。ドレイク「Successful」(2009)に代表されるようなダークで浮遊感のあるトラックにオリジナル版のアデュのヴォーカルが乗せられ、中盤でジェイ・Zのラップがフィーチャーされる。トラックもジェイ・Zも別に悪くはないのだが、シャーデーの世界観と合っているかは微妙で、個人的には1回聴けば十分という感じ。シングルのカップリングならまだしも、これをベスト盤にわざわざ収録する意味があるのかと考えると更に疑問が湧く。これはプロデューサーの40が悪いのではなく、単に選曲ミスだと思う。課題曲が「The Moon And The Sky」ではなく、「Skin」(あるいは「Bullet Proof Soul」)のような、もっと40のセンスに近いダークで冷たい感じの曲だったら、このコラボレーションはハマっていたかもしれない。「The Moon And The Sky」はシャーデー自らがリミックスを手掛け、代わりに「Skin」を40とジェイ・Zに振り、「The Moon And The Sky」オリジナル版を選曲から外せば、このベスト盤はより完成度を増していたのではないか。この「The Moon And The Sky」リミックスはいかにも話題作りのための“おまけ”という感じであまり頂けない(気に入っている人がいたら申し訳ないが)。
 '10年2月、ドレイクやカニエ・ウェストがシャーデーとの共演を希望していることが話題になった。'10年10月には、シャーデーがジェイ・Zからのコラボレーションの申し出を断ったことが伝えられた。その後、ベスト盤用に何か特別な新トラックが必要になり、結局、リミックスという形でシャーデー側が折れたのだろうが、頑なに外部アーティストとのコラボを拒むアデュが首を縦に振った理由は、果たしてそれだけなのか。ノア“40”シェビブは、アリシア・キーズ「Un-Thinkable」や、アリシアをフィーチャーしたドレイク「Fireworks」を手掛けた人物である。シャーデーに40を推薦したのは、もしかするとアリシアだったりして?

 「The Moon And The Sky」リミックスで終わるのはさすがにマズいんじゃね、と本人たちも思ったのだろう、ベスト盤の一番最後に「By Your Side」のネプチューンズ・リミックスが加えられた。'00年の同曲シングルに収録されていた名リミックスである。これは本当に最高なので、ベスト盤収録を機に多くの人に聴かれるのは良いことだ。私はこのアレンジをツアーで取り上げて欲しいと思っていたが、残念ながら叶わなかった。

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'11年ツアーで披露された「Love Is Found」

 それにしても、『SOLDIER OF LOVE』発表から僅か15ヶ月後にシャーデーの新曲が聴けるというのは驚きである。「Still In Love With You」「Love Is Found」「I Would Never Have Guessed」という3つの新曲を聴くだけでも、このベスト盤は購入する価値がある。録音時期は記載されていないが、基本的に『SOLDIER~』発表からツアー開始までの期間に制作された作品ではないかと思われる。

 これらの新曲の充実ぶりを聴くと、『LOVERS ROCK』から『SOLDIER~』までの9年間というスパンはさすがに長すぎたなと思う。『SOLDIER~』はもちろん悪いアルバムではないが、改めて聴くと保守的な面が気になり、物足りなさを感じる。メンバー本人たちが“シャーデー”というブランドを意識しながら、慎重に作りすぎてしまったような(あるいは、アデュに対して他のメンバーが気を遣いすぎているような)印象を受けるのだ。バンドという組織は、やはり、各人があまりにも長く離れていると、共同作業の勘を取り戻すまでに時間がかかると思う。ベスト盤収録の3つの新曲は、メンバーたちが自由にアイデアを持ち寄り、余計なことを考えず、自分たちがやりたいことをやりたいようにやって自然と出来上がった作品であるように思う。ここには『SOLDIER~』収録曲に感じられるようなある種の硬さがない。
 『SOLDIER~』をEPにし、そのプロモ期間でリハビリしながらフル・アルバムを完成させていたら……。そんなことを考えても仕方ないが、ともかく、この3つの新曲を聴くと、シャーデーがかつての結束力を完全に取り戻し、最高の状態でツアーに突入したことがよく分かる。アデュがツアー開始を遅らせた理由も、なんとなく分かるような気がするのである。


デラックス版を買っておこう

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コンサート開演前、サブ・スクリーンにはベスト盤のジャケ写真が映されている

 『THE ULTIMATE COLLECTION』の初回限定デラックス版には、音楽ヴィデオを収録したボーナスDVDが付いている。2本の最新ヴィデオ「Soldier Of Love」「Babyfather」がここでめでたくDVD化された。

 シャーデーのヴィデオ集としては、過去に『Life Promise Pride Love』という決定的なソフトが発売されている。このボーナスDVDは基本的にはそのアップデイト版である(ライヴDVD『Lovers Live』にボーナス収録されていた「King Of Sorrow」も含まれている)。但し、致命的なことに、冒頭に収録されるべき「Your Love Is King」「Smooth Operator」の2本がなぜかカットされている。ディスクの総容量は3.51GB。収録しようと思えばできる。未収録の理由は、恐らく『Life Promise Pride Love』の商品価値を保つためだろう。それしか考えようがない。これはシャーデーの意志とは関係なく、飽くまでSonyの商魂によるものと思われる(思いたい)。
 そして、『Life Promise Pride Love』にも収録されていない幻のヴィデオ「When Am I Going To Make A Living」が今回も外された。アデュの初々しい笑顔を高画質で見られるのを期待していたのに、ガックリである。「When Am I Going To Make A Living」は、'85年発売のヴィデオ集『Diamond Life Video』で一度だけソフト化されたことがある。再びソフト化されるチャンスはこの先10年以上やって来ないだろう。他に、全くソフト化されていないテレビ出演映像なども、頑張ればこの機会に収録できたかもしれない。いかにも中途半端なヴィデオ集になってしまったのは残念である。
 結局、収穫は「Soldier Of Love」「Babyfather」のみ。まるで満塁のチャンスに犠牲フライで1点しか入らなかったような失望感を覚えてしまうが、1点でも入ったことは積極的に喜んでおきたい。一応、Sonyは最低限の仕事はしたと言える(それにしても、最低限すぎるが……)。

 ちなみに、細かいことだが、DVD『Life Promise Pride Love』収録の「Nothing Can Come Between Us」は音と映像が微妙にずれている。0コンマの僅かなずれだが、微妙に映像の方が遅い。アデュが手拍子する場面を見るたびに私はこれが気になって仕方なかったのだが、今回のベスト盤ボーナスDVDではこれが直っている。映像とドンピシャのタイミングで手拍子が鳴るので実に気持ちいい。
 また、映像のアスペクト比は、「Soldier Of Love」「Babyfather」が16:9、『LOVERS ROCK』以前のヴィデオが(画面上下に黒みがつけられている『PROMISE』からの3本も含め)すべて4:3で、オリジナル通りに収録されている。マイケルのヴィデオ集『VISION』のように、4:3映像の左右に黒みを足して16:9には処理していない(あれは4:3のモニターで見た時に画面が小さくなるので困る)。

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UK盤に封入されているイギリス公演フライヤー

 もうひとつ、これは本当に“おまけ”という感じだが、私が購入した3枚組UK盤(Made in the EU)には、'11年ツアーのイギリス公演のフライヤーが封入されていた。フライヤーには2枚組と3枚組の両方の型番が記されているので、どちらにも封入されていると思われる(US盤は知らない)。シャーデーが海の向こうでツアーをやっているという事実を、この1枚の正方形の紙切れが否応なしに突きつけてくる。バカ高い燃油サーチャージがひたすら恨めしくなるようなベスト盤である。



追記('11年8月3日):
 The Indianapolis Star紙の'11年7月6日付けウェブ記事で、アデュが「Still In Love With You」と「The Moon And The Sky」リミックスについて語っている。

──いつからシン・リジィの曲をやっていたんですか?

「あれは新しいの。昔からずっと大好きな曲なの。スチュアートも大好きで。シン・リジィの素晴らしいライヴ・ヴァージョンがあるんだけど。ツアーのリハーサルをやってる時、レコーディングすることに決めたの。スタジオで2~3回演奏してみて、それで録った。苦もなく仕上がったわ。バンドの皆が参加してるところもいいのよね」

──シン・リジィのスタジオ版と聴き較べると、フィル・ライノットの歌唱はあなたと似ている気がします。彼から影響は受けました?

「そうでもないわ。彼らはイギリスでいくつかヒットを出した。〈Whiskey In The Jar〉とか好きだったわ。彼がやってたのは基本的にはブルースだったでしょう? それがすごく私に合うのよね。フレーズをきつく歌ったりするところとか。私はブルース歌手ではないけれど、似てる感じがするのはそのせいだと思うわ」

──ジェイ・Zとのコラボはどのように実現したんですか?

「私が大のヒップホップ・ファンだということは知ってると思うけど。ラップであの曲がどうなるか試してみようと思ったの。私にとってジェイ・Zはフランク・シナトラみたいな人。彼は別格よね。彼がリミキサーにドレイクのプロデューサーのノア“40”シェビブを提案してきたの。とても気に入ってるわ」

 アデュが賞賛している「Still In Love With You」のライヴ版は、シン・リジィの2枚組ライヴ盤『LIVE AND DANGEROUS』(1978)、同時期にロンドンのレインボー・シアターで収録された同名ライヴ映像(2007)などで聴くことができる。シャーデーのカヴァー版は、オリジナルのスタジオ版ではなく、明らかにこのライヴ版を手本にしている(ライヴ版には、シャーデーのカヴァー版と同じく、結びのブレイク部分にスタジオ版にはない表題フレーズが加えられている)。アデュの歌い方もライヴ版のライノットの歌唱にそっくりだ。私はアデュの説明のおかげでこの点に初めて気付いた(録音時期とゲイリー・ムーアの他界が重なったのは単なる偶然のような気がする)。

※「Still In Love With You」と「The Moon And The Sky」リミックスに関しては、The Oakland Press紙('11年7月27日付けウェブ記事)のインタヴューでマシューマンが更に詳しく語っている。彼の発言については別記事“スチュアート・マシューマン 大いに語る”を参照。

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