2017 081234567891011121314151617181920212223242526272829302017 10

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スチュアート・マシューマン 大いに語る

Matthewman_speaks1.jpg

 シャーデーのオリジナル・メンバーの一人で、その参謀的な存在でもあるギター/サックスのスチュアート・マシューマン。彼が北米ツアー中にオークランドの新聞の取材に応じた。The Oakland Press紙サイトの'11年7月27日付け記事にそのインタヴューが掲載されている。普段なかなか聞けないバンドの裏事情、シャーデー・アデュの天然ぶり、創作の背景、バンドの将来などについて語られていて大変に面白い(アデュによると、マネージャーからツアーの宣伝活動を積極的にするよう指示が出ているそうで、北米ツアーに入ってからインタヴューの本数がやたら増えている)
 今回は、このインタヴューにおけるマシューマンの発言(記者によるテキスト部分を除く)を全訳で紹介する。かゆいところに手が届く、ファン必読の好インタヴューだ。


SHE HAS A DIFFERENT CONCEPT OF TIME
彼女は時間の感覚が人と違う


Matthewman_speaks2.jpg
'11年ツアーで「Love Is Found」を演奏するマシューマン

 “シャーデー”という名称は、歌手のシャーデー・アデュ個人のことも指すが、同時にバンド名でもある(混同を避けるため、私はシャーデー個人を指す場合、基本的に“アデュ”と書くことにしている)。しかし、“シャーデー”と言えば、一般的にはシャーデー・アデュのことであり、アデュ以外のオリジナル・メンバー──スチュアート・マシューマン、ポール・デンマン、アンドリュー・ヘイル──は、コンサート会場に訪れる多くの観客にとって“他の3人”に過ぎない。しかし、マシューマンも他のメンバーたちも、その点に関しては全く気にしていないと言う。

「何も問題はないよ。みんながシャーデー(アデュ)を目当てでやって来ることは知ってる。でも、僕らがバンドでもあるということは、ほとんどの人が理解してくれてると思うしね。シャーデーの後ろでミュージシャンが隠れて演奏してるわけじゃない。僕らにはみんな個性があって、対等に渡り合ってる。みんな古い付き合いで互いに大好きだし、一緒に遊んだりもする仲だ。僕らの様子からもそういう雰囲気が伝わると思うけど。
 シャーデーも僕らには何の気兼ねもない。言いたいことは何でも言えるし、完全に正直でいられる。僕らには音楽監督役だっていないしね。ただ互いに意見を言い合うだけなんだ」

 寡作なことで有名なシャーデー。活動はいつもどのようなきっかけで再開されるのだろうか。

「僕らが活動するのはシャーデー(アデュ)に準備ができた時だね。彼女は自分の生活を送って、歌にすることを見つける必要がある。彼女にはただ何もしないで歌を書くことができない。彼女は主婦だ。彼女には家族や友人がいて、自分のやることがある。彼女は控え目な人間だよ。世間から離れて隠遁してるというのではなく、他の有名人たちと付き合うとか、何かのオープニングに顔を出すとか、そういうセレブ的なことをしないんだよね。彼女は仲良したちと出掛けるごく普通の家庭持ちの女性なんだ。
 僕らには全員自分の生活があるわけだし、集まって一緒に仕事するのも好きだ。かと言って、もちろん彼女を無理にスタジオへ呼ぶことはできない。だからその間、僕らは僕らで活動して、彼女に準備ができるのを待つんだよ」

 シャーデーの他のメンバーたちには強靭な忍耐力が要求される。アデュののんびりしたペースに付き合うのは並大抵のことではない。

「シャーデーってのはとにかくね……アルバムを作ってから実際には2年も経ってるのに、彼女は去年作ったばかりだと思っちゃうんだな。10年経っててもそうさ(笑)。違うんだよね……ナイジェリア的な時間感覚なのか知らないけど、彼女の時間に対する概念は僕らと違ってるんだよ」

 やっぱりアデュは変なのだ(笑)。長い付き合いのマシューマンが言うのだから間違いない。
 そう言えば、'93年ツアーのパンフレットにはこんな話が載っていた──“何時にどこでと約束する時には、絶対に遅れてくるシャーデーには他の人たちより1時間早い時刻をいっておかなくてはならない”。メンバーもファンも、とにかくアデュを待つしかないのである。


OF COURSE IT WILL HAPPEN──IT'S JUST A MATTER OF WHEN
もちろん次はあるだろう──単に時間の問題さ


Matthewman_speaks3.jpg
'11年ツアーで「Smooth Operator」を演奏するマシューマン

「シャーデーにはひとつのサウンドしかないと思われがちだけど、長年にわたって色んなものがかなり変な風に混じり合ってるんだよね」

 バンドの音楽性についてこう語るマシューマン。その最たる例は最新曲の「Love Is Found」だろう。何をやっても“シャーデー・サウンド”になってしまうところがこのバンドの素晴らしさである。しかし、彼らのサウンドに、ある種のステレオタイプなイメージが付きまとっていることも事実だろう。バンドの代名詞的なヒット曲「Smooth Operator」についてマシューマンが回想する。

「〈Smooth Operator〉の発表当時、レコード会社からどう売ればいいか分からないと言われたことを覚えてるよ。サックスのイントロがあって、シャーデーが語り始めて、で、サビもないままベース・ソロが出てきて……。レコード会社の人間は“やり直しだ。これじゃラジオでかからない”。でも、発売してみると大当たりさ。曲を聞き返して、そういう色んなことを思い出すのはなかなか面白いね」

 「Love Is Found」と同じく、最新ベスト盤で発表されたジェイ・Zとの共演作「The Moon And The Sky」リミックスについて。

「お互いの音楽スタイルをよく理解し合っている者同士のコラボレーションということさ。彼は僕らのやっていることを尊重してくれたと思う。“ビッグ・ネームと共演して一発当てようぜ”とか、そういうことじゃないんだよ」

 なるほど。以前、このリミックスに関して、“いかにも話題作りのためのおまけという感じであまり頂けない”などと書いてしまった私は、マシューマンのこの発言に触れてちょっと反省している(ベスト盤のディスク2をヘヴィ・ローテーションで聴くうちに、それなりに印象は良くなっている。ただ、もうちょい何とかなったような気がするのだが……)。
 
 シン・リジィのカヴァー曲「Still In Love With You」についてはこう説明する。

「イギリスでガキだった頃、僕はずっとシン・リジィのファンで、あの曲が大好きだったんだ。僕らはいつも一緒に音楽を聴いていて、一度あれをシャーデーに聴かせたことがあった。彼女もすごく気に入ってね。で、ツアーのリハーサルをしてる時、ベスト盤にいくつか新曲を入れた方がいいとマネージャーから言われて、シャーデーが“私たちが好きだったシン・リジィの曲、あれ何だっけ?”と。そこで僕らはYouTubeであの曲を見つけて、“こりゃすごい、なんて素晴らしい曲なんだ!”と思ってさ。ツアーのリハーサル中、僕らはあれをスタジオで完全に生で演奏してみた。そしたら、自分たちのレパートリーにできるという手応えがあったんだ。彼女も曲を自分のものにしていたしね」

 別のインタヴューで、アデュがシン・リジィの同曲のライヴ版を賞賛している(過去記事“The Ultimate Collection”の追記を参照)。シャーデーのカヴァー版は、シン・リジィの'74年のオリジナル・スタジオ版ではなく、ライヴ版を手本にしたものなのだ。彼らがYouTubeでチェックしたのは、'78年のレインボー・シアター公演のライヴ映像ではないだろうか?

Matthewman_speaks4.jpg
'11年ツアーの「Skin」──マシューマンのロック・ギターが終盤で炸裂する

 “どこまでやるの!?”状態のシャーデーの世界ツアー。マシューマンによると、なんと'12年に南アメリカとオーストラリアを廻ることも検討中だという。オーストラリア公演が実現すれば、そこから日本へ足を伸ばす可能性も出てくる。日本のシャーデー・ファン、希望を捨てるのはまだ早い!

 また、嬉しいことに、マシューマンは『SOLDIER OF LOVE』に続くアルバムの制作にも意欲的で、割と早い時期に取りかかりたい意向も示している。

「もちろん次はあるだろう。単に時間の問題さ。シャーデーってのは、何をするにしろ100%そこに打ち込む人間なんだ。アルバムを作っているのであれば、彼女は日常の色んなことから切り離されることを望む。だから、彼女の生活が順調で、特に何もない限りは、彼女は集中してスタジオで作業に打ち込むことができるようになる」

 次回作は時間の問題。そして、忍耐の問題でもある。

「このツアーが終わったら、彼女は間違いなく休みたがるだろう。となると、僕らは然るべき時がやって来るのを待つしかなくなる。いつものようにね」



追記('11年9月10日)
 結局、シャーデーの南米ツアーは'11年10月、豪州ツアーは12月に行われることが決定した(いずれも8月末に日程が発表された)。詳しい日程については以下の記事を参照。


Soldier Of Love Tour [2011]
Soldier Of Love Tour on YouTube

| Sade News | 23:15 | TOP↑

PREV | PAGE-SELECT | NEXT