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シャーデー 大いに語る──ライヴDVD発売記念インタヴュー


そのファンタ・オレンジのTシャツはどこに売っているんですか?!

 '12年5月22日、世界に先がけて北米盤が発売されたシャーデーのライヴ映像作品『BRING ME HOME - LIVE 2011』。私のもとにも23日に某有名ネット通販サイトからDVD+CD版が届いた(リージョン0。英語を含む7ヶ国語の字幕付き。日本盤には日本語字幕が付くが、そこそこ英語力のある人なら半額以下の北米盤で十分ではないか)。私はこれを鑑賞するのがほとんど日課のようになっている。

 このライヴDVDのプロモーションで、シャーデー・アデュが複数のインタヴュー取材に応じている。しばらく声が聞けないと思っていたので、これは大変嬉しい。私が確認したところでは、インタヴュー記事はSoulBounce.com('12年5月22日)、uk.Reuters.com('12年5月24日)、MercuryNews.com('12年5月24日)の3本が公開されている。DVDについては改めて書くとして、今回はこれらのインタヴューを拙訳で紹介することにしたい。

 ツアー、監督のソフィ・ミュラー、若さの秘訣、娘のアイラ、普段聴いている音楽、次回作の予定──3つの取材でアデュは大体同じようなことを訊かれているが、毎回微妙に違うことを喋っていて面白い。これらのインタヴュー記事は、記者の文章内にインタヴュー発言が挿入される形式ではなく、いずれもQ&A(対話)形式で構成されている。以下に掲載するのは、Q&Aを話題ごとにまとめて、3本のインタヴューを合体させた特別版である。各Q&Aがどの記事のものであるかは、質問の文頭のマーク(●▲■)で示す。

 シャーデーは相変わらずである。早く戻ってきてくれ~!


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長年どうやって自分の声を保っているのですか?

「ヴォイス・トレーニングは続いた試しがないわ。“明日はスケール練習をやらなくちゃ”と28年間言い続けてるけど、いまだにやってない。ステージに出て歌えば、その場で否が応でも技術は身に付いていくものだと思う。2時間なんとか乗り切るため、知らないうちに技術を身に付けてしまうわけ」

久々に戻ってきて熱狂的なファンのために歌うというのはどんな感じでしたか?

「それだから自分がまるで剣闘士にでもなったような気がするのよね。観客がちゃんとした人たちで、自分の音楽を好きでいてくれて、温かい気持ちでやって来てくれてると分かっていても、いざステージに上がるとなると、バカみたいだけど、八つ裂きにされるんじゃないかっていう恐怖感に襲われて、まるでライオンの檻に放り込まれるような気になるものなのよ。だから、ステージに出たらちゃんとしなくちゃいけない」

昨年のあなたのツアーを観た人たち──私もその1人ですが──は、みな口を揃えて、ここ数年来で最高のコンサートだった、今までのシャーデーのツアーの中で一番じゃないか、と言っていました。アルバムとは別に、シャーデーの活動においてライヴ・ショウがここまで重要な要素になったのにはどういう経緯があるのでしょう? 意図してなのか、それとも自然とそうなったのでしょうか。

「特別なファンでない人たちにも、私たちは記憶に残るようなすごい体験をして会場を後にして欲しいと思った。素晴らしい映画を観た後で感動や余韻が残るようにね。
 実際にステージに立ち、色んな期待を受けながら観客を目の前にするというのは本当にとてつもないことだわ。その日、自分がどんな気分だろうと、実生活で何が起きていようと構ってはいられない。その瞬間に集中しなくてはいけないのよ。自分がまるで台風の目の中にいて、そこから波に飛び乗るような気がする時があるわ。常にエキサイティングでエモーショナルな体験だし、何より私たちを支えてくれてる人たちと一番近くで接することができる場よね」

『BRING ME HOME - LIVE 2011』はあなたの3本目のライヴ映像作品になります。ファンがショウを手軽に楽しめるようになることはやはり重要だと思いますか? シャーデーがツアーをやった後にそれがDVD化されるのはお約束なのでしょうか?

「今回のショウはこれまでの中でもずば抜けていると私たちは思った。だから当初、私は撮影することには反対だったのよね。これをきちんと記録することはできないだろうと。でも、評判の良さもあって、ソフィからライヴ映像を作るよう説得されたの。私たちの最高の作品を記録しないなんてクレイジーだわ、とね。
 だから、ショウを観られなかった人たちや、観に行って追体験したい人たちにとって、この映像はテレポート装置みたいなものになるわね」

あなたは一般的に、ソングライティングの質の低下に繋がると一部の批評家がしばしば指摘するような派手なヴィデオや大掛かりなショウを嫌う世捨て人と思われていますが、昨年のあのツアーは驚異的なものでしたし、あなたは過去20年間において最も輝かしくスタイリッシュな音楽ヴィデオの数々も生んでいます(「No Ordinary Love」や「Cherish The Day」が思い出されます)。あなたに考えを改めさせてしまうソフィ・ミュラーという人は何者なのでしょう?

「私はソフィを信頼してる。いい監督だし、勇敢で、独立していて、流行りのものには関わらない。彼女とは十代の頃からの付き合いでよく知ってるから、自分の境界線を広げて冒険することも私は恐くない。ソフィは音楽に対して素晴らしい愛情と感性を持っていて、作品で音楽の情感にぴたりと寄り添うのよ。
 私たちは演劇のようなつもりでショウの制作に取り組んだ。1曲1曲が独自の物語を紡ぎながら、ステージやサウンドがガラリと変わっていくようなショウね。私たちは違った発想でアリーナの空間を生かすことにしたの」

ソフィ・ミュラーは過去20年にわたってあなたのほぼ全てのヴィデオを手掛けています。どうしてこれほど長く付き合いが続いているのでしょう?

「私たちは大昔、セント・マーティンズ大に通っていた頃に出会った。図書室でよく互いに物を投げ合ったりしたものよ。2人でわけの分からないヘンテコな詩を書いたりね。私が1行書いて、彼女が1行書いて、また次を私が書いて、という具合に合体させるわけ。
 アルバムを作ってる最中も彼女はスタジオに出入りしていた。互いに信頼できる仲なのよ。ただお互い好きだとか、愛してるというだけでは不十分でしょ。崖を昇っていて、誰かが自分の命綱を握っていた場合、絶対に手を離さない人だと分からないとダメっていうのと同じよ」

ナイジェリアにはあなたの忠実なファンがいますが、ショウをやりに行こうと考えたことは?

「ナイジェリアでやってみたいわね。私の調達要求品目のリストにエグシ・シチューとパウンデッド・ヤムを入れるわ。今回は向こうにショウを持っていくことは無理だったでしょうけどね」

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あなたは53歳ですが、30歳に見えます。その若々しい容姿はどのように保っているのですか?

「私はよく動く。いつも何かやってるわ。あまりゴロゴロしないし。常に動いて、活動してるわね。良かれと思ってエクササイズをやったり、ヨガを試してみたこともあるけど、私の生活にそんな暇はないのよね」

あなたが音楽界に戻ってきて、また、昨年ボルチモアでコンサートを観た時も驚いたことなのですが、あなたは本当に綺麗ですよね。特別な健康法や美容法があるのですか? 遺伝子にも恵まれているのでしょうが、あなたの秘訣は何なのでしょう?

「私の家系は丈夫なのよ。私のナイジェリアのお祖母ちゃんは80になっても井戸から水を汲んで、えっちらおっちら台所にバケツを運んでたわ。イギリスのお祖母ちゃんは90代でも足腰が丈夫だったし。
 健康を心掛けたことも何度かあったけど、自分にとって苦痛になることは嫌だし、私にはそんな意志もない。でも、私は活動的だし、身体を使うのは好きよ。ウェイト・トレーニングをするよりも、私は荷車を押すわ。それだとなぜか苦痛に感じないの」

セックス・シンボルとしての自分の地位をどう思います? あなたと結婚したがっている男が周りに何人もいるんですが。

「その人たちの住所は?(笑)それは気にしてないわね。歌ってる時、私はただ自分の思いを表現しているだけだし、そんなことじっくり考えもしない。でも、嫌だっていうんじゃないわよ! まんざらでもないわよね」

53歳で、あなたはよく老い知らずと言われます。どうしてそんなに若くいられるのですか?

「活力の問題じゃないかしら。その人の見た目の年齢は、整形手術とかじゃなく、身体の動きによって決まると思う。自分のやっていることを常に愛し、困難に直面してもしっかり前を向くことが大事よね。みんな投げてしまうでしょ。ある年齢を超えると、自分はもう引退だと思ったりして。私は絶対そんな風に思ったりしない。常にやるべきことがある。戦いはまだ終わってないもの」

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15歳の娘さんがツアーに同行されていかがでしたか?

「娘はショウをすごく気に入ってくれた。あの子が観た回数には驚いたもの。娘は前回のツアーにも同行してたんだけど、いつもバスにいた。まだ4歳で、とても幼かったから。私がステージに立っているところを見せたくなかった。彼女にとって私はただのお母さんなわけだから、理解できないだろうと思ったのよ。きっと混乱したでしょうね。それから長いこと経って訊かれたわ。“お母さんは有名なの? 本当に有名なの?”ってね」

『SOLDIER OF LOVE』では娘さんのアイラが「Babyfather」で歌っていました。娘さんはあなたに倣って歌手になりたがっていますか? ご自分では娘さんに後を継いで欲しいと思いますか?

「有名人の子供というのは大変よね。必ず親と較べられてしまうから。大きな木は大きな影を投げる、というのは本当だわ。娘は特別な子だけど、私は彼女にいい人間になってもらえればそれでいいわ」

娘さんと音楽の趣味は合います? 互いに相手が聴いているものに影響されたりするのですか?

「音楽は聴かせっこしてるわ。娘は生まれた時から影響されていて、あらゆる種類の最高の音楽を植え付けられてる。でも、今度は私が感化される番だわね」

『BRING ME HOME』の舞台裏映像には、スヌープ・ドッグに合わせてあなたが踊っている場面が出てきます。本当にヒップホップを聴くんですか?

「ヒップホップは大好きよ。ビートが好きだし、歌詞も好き。心から生まれているところが好きね。リアルで、ただのコマーシャルな音楽じゃない。スヌープ・ドッグやドレイクを聴くわ。彼らは素晴らしい。ヒップホップはよく聴くから、私はよく踊る。遊びに行くのも好きだし。最近はないけど、フロアで踊るのも好きよ」

遊びに出掛けるのが好きというのは意外ですね。あなたはよく世捨て人と言われるので。違うんですか?

「自分が世捨て人だとは思わないけど、確かに華やかな場は避けるわね。みんなそれぞれで楽しんでいて、誰も他人に干渉しないような場所に私は踊りに行く。私は自分のことをセレブだとは思ってない。ソングライターで歌手だと思ってる。音楽を作る人間ね。そういう人間だからって、自分の生活を捨てなきゃいけないということには必ずしもならないと思うのよね」

あなたのiPodでよく再生される中で人が知ったら驚くようなアーティストは?

「私はどんなジャンルの音楽でも聴く。ドリー・パートンからニルヴァーナまでね。私はいつもソウルを持っている人に引かれる。彼らの物語は本物でしょ。そこには彼らの命が注ぎ込まれてる。私がラップを好きなのもそのせいよ」

多くの若手歌手があなたに触発されています。最近あなたは誰を聴いていますか?

「ここ数年で私が見つけたのはレイ・ラモンターニュね。彼の歌声は大好き。本当に類い希な才能の持ち主だと思うわ。彼は自分流でやってる。時代と関係ないところにいるというか。独自の世界を持ってるのね。ヒップホップもよく聴くわ。歌詞が好き。私にとっては詩だわ」

最近、ビヨンセがあなたとその音楽に捧げる文章を自分のウェブサイトに載せましたが(*)、どのように感じます?

「音楽業界というのは若い女性歌手同士を競争させたがるでしょ。誰かが他の女性歌手を堂々と賞賛するのは素敵なことだわ。ビヨンセは女戦士よね。彼女は特別だわ」

ロバート・グラスパー・エクスペリメントが新作『BLACK RADIO』で、レイラ・ハサウェイをフィーチャーして「Cherish The Day」をカヴァーしています。お聴きになりましたか? 自分の曲が他のアーティストにカヴァーされることについてはどうですか? 手をつけて欲しくないと思います? 立派なリメイクを聴くとやはり嬉しいものですか?

「そのカヴァーはまだ聴いてないんだけど、他の人たちの解釈を聴くのは大好きよ。とにかく、歌というものは一度世に出たら皆のものになると私は思うのね。シヴィル・ウォーズがカヴァーした〈No Ordinary Love〉は好き。自分たちの曲がサンプリングされるのも大歓迎よ。作品が作り替えられて新鮮味が加わるわけだから」

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音楽活動の合間はどう過ごされているのですか? 常に新作に備えているのでしょうか?

「家で音楽を聴きながら歌うから、常に歌ってはいるわね。何か書き留めたりすることもある。あとで曲に繋がるような考えや思いなんかをね。アルバムの合間の私の生活は色んな経験の積み重ねで、そのうちそれについて書くわけ。自分は次から次へと書きまくるような多作家ではないわね」

『SOLDIER OF LOVE』は発売の週にゴールド・ディスクになりました。制作中にアルバムの売り上げのことは考えますか?

「私たち成功するかしら、なんて考えない。まあ、ともかく意識的にはね。無意識のうちに“うまくいかなかったらどうしよう”みたいなことは思ってるかもしれないけど。でも、実際にそういうことをきちんと考えることはない。“よし、これは大成功するぞ”とか途中で考えないわ。気づいた時にはもう出来上がってるっていう」

『LOVERS ROCK』と『SOLDIER OF LOVE』の間の10年間、ファンに出くわして新作について訊かれたりしました?

「ガソリンスタンドで並んでると毎度それよ。いつもそれを訊かれて、私はその度に“明日よ”と答えるんだけど、みんなから嘘つきだと思われてしまう。実際より早く出せるだろうと私は見込むから。でも、自分の生活に妨害されるのよね。その質問はいつもされるわ。ほら、私はナイジェリア人だから。私はいつも遅れるのよ」

次のアルバムはいつ発表されるのですか?

「もっと早く出したいし、それはいつも考えてる。別に音楽から遠ざかるわけじゃない。でも、色々と事情があるのよ。取りかかるには生活から離れて専念できる時を見定めないといけない。私には生活に揉まれながらじっくり曲を書くことはできない。どこかへ離れないとダメなのよ。早くアルバムを作りたいとは思うけど、そう簡単にはいかないのよ」

『LOVERS ROCK』から『SOLDIER OF LOVE』まで10年の間が空きました。最新作から既に2年経っているわけですが、私たちは次のスタジオ・アルバムまで'10年代の残り一杯を待たなければならないのでしょうか? それとも、もっと早くに何か驚きが訪れるのでしょうか?

「言ったら驚きじゃなくなるでしょう! それが分かれば私もビックリだわ」

シャーデーのこれからは? バンドとあなたにとって。

「球を打って、それが戻ってくるのを待つだけね」

多くのファンがシャーデーのサウンドに共鳴するのはなぜだと思います?

「歌が鍵なんじゃないかしら。心から生まれているものだし、アルバムを作ってる時も私たちは全身全霊を注ぎ込む。ヒット・アルバムを作るとか、先を読んで人がどんなものを聴きたがるか、何を買いたがるか予言するとか、そういうことじゃない。真心のようなものが込められてる。私たちは音楽に没頭するだけよ」

現在のシャーデー・アデュから'84年のシャーデー・アデュに助言するとしたら?

「音楽に商品以上の意味があると確信しているあなたは間違ってない。みんな分かってくれると信じなさい。
 でも、革手袋は意味なかったわね」


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革手袋が欠かせない'84年のアデュ

(*)'12年4月5日にオープンしたビヨンセの新サイト内には、シャーデーに対する以下のメッセージが掲載されている──“長年、私はインスピレーションを求めてシャーデーに耳を傾けてきました。どれだけの月日か見当もつきません。辛いときでも、私が必要とすれば、彼女はそこにいて、私を導き、元気づけてくれます。彼女の音楽は、すべての真の音楽がそうであるように、真の友でいてくれるのです。ありがとう、シャーデー。愛をこめて。ビヨンセ(For years I've turned to Sade for inspiration - I cannot even begin to count the nights, days, hard times - when I need her - she is there, to inspire me, and brighten me. Her music has been a true friend, as all true music should be. Thank you SADE. Love, Beyonce)”。

【出典】
●SoulBounce.com: Sade Talks 'Bring Me Home Live,' Touring, Music & What's Next (22 May 2012)
▲uk.Reuters.com: Sade brings it home with concert film and live CD (24 May 2012)
■MercuryNews.com: Sade talks about tattooing, youthful look, new DVD (24 May 2012)




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