2017 04123456789101112131415161718192021222324252627282930312017 06

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

Golden Love Deluxe



 A golden girl knows when he's kissed her
 It's the kiss of death from Mister Goldfinger
 Pretty girl, beware of this heart of gold
 This heart is cold

 Goldfinger (1964) performed by Shirley Bassey
 
 A license to love, insurance to hold
 Melts all your memories and change into gold
 His eyes are like angels but his heart is cold

 Smooth Operator (1984) performed by Sade


Golden_Love_Deluxe2.jpgGolden_Love_Deluxe3.jpg
Shirley Eaton on the cover of the Life magazine, November 6, 1964

 この類似に気付いているシャーデー・ファンは、もしかすると世界で私一人だけかもしれない。こんなことを発見する俺ってスゴいぜ、と思う一方、何でもシャーデーに見えてしまう自分は単に病気なんじゃないかとも思う(笑)。いずれにせよ、この2つの写真が似ていることに関しては、かなり多くの同意を得られるのではないだろうか。アデルが主題歌を担当するシリーズ最新作『007 スカイフォール』公開、『LOVE DELUXE』発売20周年、ついでに、シャーデー・アデュがアルバート・ワトソンの個展を訪れたことを記念して記事のネタにすることにした。

 全身金ピカで“LOVE DELUXE”なポーズをとる美女は、ご存じ、『007 ゴールドフィンガー』(1964)のシャーリー・イートン。映画の宣伝用に撮られたこの写真は、当時、Life誌('64年11月6日号)の表紙も飾った。アデュの写真はアルバート・ワトソンによって'92年7月31日にロンドンで撮影され、『LOVE DELUXE』('92年11月11日発売)のカヴァーを飾った。いずれもヌード写真であり、両者のポーズも、上半身だけを捉えた構図も、パロディかと思うくらい似ている。何より似ているのは、メタリックな肌の質感である。アルバート・ワトソンは独特の濃淡でアデュの裸体をまるでブロンズ像のように捉えている。金粉に覆われたシャーリー・イートンの裸体もまた彫像めいている。いずれも“生きたままオブジェ化された裸婦”といった印象を受ける。

 シャーリー・イートンのこの写真は恐らく裏焼きされたもので、実際には彼女は左半身ではなく、右半身をカメラに向けていると思われる。なぜかと言うと、『ゴールドフィンガー』のイートンは髪を右分けではなく、左分けにしているからである。Life誌の表紙写真が左右逆像になっているのは、単純に雑誌名のロゴが左上に入る表紙のデザイン上の理由によるものだろう。画面左側に文字が組まれると、ますます『LOVE DELUXE』との類似は強まる。『LOVE DELUXE』のタイポグラフィがゴールドなのも偶然にしては出来過ぎだ。

Golden_Love_Deluxe4.jpg
『007 ゴールドフィンガー』──黄金のイートンの登場場面

 実際の『ゴールドフィンガー』劇中で、シャーリー・イートンがLife誌の表紙のようなポーズをとることはない。彼女は死んでいるからだ。金粉に覆われたイートンは、上の写真のようにベッドにうつ伏せの状態でジェイムズ・ボンドに発見される。イートン演じるジル・マスターソン嬢は、黄金に取り憑かれた悪人ゴールドフィンガーの手下。彼女はボンドと関係を持ち、組織を裏切った罪でゴールドフィンガーによって全身に金粉を塗られて殺害されてしまう。恐るべし、ゴールドフィンガー!という場面である。

Golden_Love_Deluxe5.jpg
“おや、死んでますね……”──ジルの脈を確認するボンド

 全身に金粉を塗ると皮膚呼吸ができなくなって死ぬ、という話がある。この映画の印象が強すぎて私も長いことずっとそう思っていたのだが、ネットで検索してみたところ、実際にはそんなことはないらしい。汗腺が金粉で塞がれ、体温調節が妨げられて熱中症を起こす可能性はあっても、金粉を塗っただけで人が短時間で簡単に死ぬことはないという。ゴールドフィンガーはよほどの手間をかけてジル・マスターソンを殺したのかもしれない(金粉を塗ってサウナに閉じ込めたとか?)。全身に金粉を塗ると死ぬ、という都市伝説はどうやら『ゴールドフィンガー』に端を発しているようだ。

Golden_Love_Deluxe6.jpg
“な〜んちゃって!”──起き上がるイートンのプロモ写真が使われた仏盤シングル

 『ゴールドフィンガー』とシャーデーの接点は、実は他にもある。『ゴールドフィンガー』と言えば、何と言ってもシャーリー・バッシーが歌う同名の名主題歌。本記事冒頭に掲げた通り、シャーデー「Smooth Operator」(1984)の歌詞には少しばかり「Goldfinger」を彷彿させる箇所がある。「Goldfinger」では悪人ゴールドフィンガーのことが、「Smooth Operator」では女たらしのことが歌われているが、いずれも“gold(黄金)”で韻を踏みながら“彼の心”を“cold(冷たい)”と表現している。また、「Smooth Operator」の“license to love(恋のライセンス)”という表現は、ジェイムズ・ボンドが持っている“licence to kill(殺しのライセンス)”を想起させる。「Smooth Operator」は、女から女へ渡り歩いていくプレイボーイのことをジェイムズ・ボンド風のイメージで描いた歌である。ジュリアン・テンプルが監督した同曲の音楽ヴィデオもスパイ映画風だった。

Golden_Love_Deluxe7.jpg
『ゴールドフィンガー』撮影中のシャーリー・イートンとショーン・コネリー

 というわけで、私は独自の諜報活動によってシャーデーとジェイムズ・ボンドが意外と密接な関係を持っていることを突き止めた。とはいえ、『LOVE DELUXE』のアデュと『ゴールドフィンガー』のシャーリー・イートンの写真が似ていることは、99%偶然だと思う(笑)。似たようなポーズをとっている女の写真など、この世にいくらでもあるに違いないからだ。

 但し、今回の調査によって、シャーデー・アデュにボンド・ガールの素質が十分にあったことが証明されたと思う。実際にアデュがボンド映画に出演したら、それはそれでちょっとどうかと思うが、想像する分には面白い。グレイス・ジョーンズは哀れな最期を迎えるアマゾネスだったが、アデュなら恐らく本命ボンド・ガール役でもいけただろう(しかし、演技ヘタそうだな〜)。「Smooth Operator」と「Love Is Found」を脳内でミックスし、シャーデーが担当するボンド映画の主題歌を想像するのもまた一興だ。

| Sade Tree | 00:07 | TOP↑

PREV | PAGE-SELECT | NEXT