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Kids Are Alright!──チビっ子音楽ヴィデオ特集


SWEET TALK (2012)
Artist: Jessie Ware | Director: Joel Wilson

 5月5日“こどもの日”に因んで、今回はチビっ子が活躍する音楽ヴィデオのミニ特集。過去記事で紹介したジェシー・ウェアのヴィデオ「Sweet Talk」がここ最近では出色の出来だが、他にも色々と面白い作品があるので、いくつかまとめて紹介してみたい(柏餅を食べながら鑑賞することを強くお勧めします)。

 可愛かったり、時にコワかったりもする子供たち。子供は無限の可能性を秘めている。彼らのパワーに刺激を受け、私たち大人も頑張ろう。子供はいつでも元気!


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GROWN UP (2012)
Artist: Danny Brown | Director: Greg Brunkalla

 前歯2本が欠けているデトロイトのラッパー、ダニー・ブラウン。このヴィデオでは幼少時のブラウンを子供が演じ、彼が前歯を失った経緯が明かされる(実話らしい)。リップシンクで見事なチビっ子ラッパーぶりを見せる子役の演技が楽しい。永久歯は大切にしよう。尚、この「Grown Up」やジェシー・ウェア「Sweet Talk」のように、子供がアーティスト本人に扮する音楽ヴィデオには、ノトーリアス・B.I.G.「Sky's The Limit」(1997)、クイーン「The Miracle」(1989)という決定的な先例が存在する。自身の生い立ちを綴ったリリックも含め、ダニー・ブラウンのヴィデオは「Sky's The Limit」へのオマージュである可能性が高い。


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TIGHTEN UP (2010)
Artist: The Black Keys | Director: Chris Marrs Piliero

 ブラック・キーズのヴィデオは、のどかな昼間の公園が舞台。ダン・オーバックとパトリック・カーニーの息子2人が、女の子を取り合って殴り合いの喧嘩になる。それを端から見ていたオーバックとカーニー(静観ぶりが可笑しい)の前に綺麗なママさんが現れ、今度は彼らも……。子が子なら親も親という作品。それとも、男は成長しない生き物ということか?


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BABYFATHER (2010)
Artist: Sade | Director: Sophie Muller

 黒人街を舞台にしたシャーデーのハートウォーミングなヴィデオ(詳しくは過去記事参照)。子供たちがたくさん登場。シャーデーのセクシー主婦ぶりも麗しい。同じくソフィー・ミュラーを監督に迎え、アリシア・キーズもシャーデーに倣って主婦役に挑戦したのは記憶に新しい。スパイク・リー『ドゥ・ザ・ライト・シング』(1989)の影響が見られることは以前も書いたが、このヴィデオは、子供たちがフックを歌うブルックリン舞台のジェイ・Z「Hard Knock Life」(1998)にもちょっと似ている。


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I WANT YOU BACK (2011)
Artist: Ayo | Director: J.G Biggs

 ヨーロッパを中心に活動するナイジェリア系ドイツ人の女性ネオ・ソウル歌手、アヨ。J5の直球カヴァー「I Want You Back」のヴィデオは、MJ愛に溢れる傑作だ'12年8月29日の記事でも紹介したが、最高なので再び取り上げる)。地下駐車場でアヨとチビっ子集団が“どっちがよりMJを好きか”で言い合いになり、ダンス対決。映画『ムーンウォーカー』に収められた「Bad」のキッズ版パロディ「Badder」、ジャクソンズが子供たちと踊る'84年のペプシCF(路上篇)もあわせて再見したい。MJはチビっ子音楽ヴィデオの分野でも時代をリードしていた?


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LOVING YOU IS KILLING ME (2011)
Artist: Aloe Blacc | Director: Ross Harris

 アロー・ブラックのヴィデオはどれも素晴らしいが、中でも、彼が幼稚園児くらいのチビっ子と一対一でロッキング合戦を繰り広げる「Loving You Is Killing Me」は必見。何気に踊れるアロー・ブラックにも驚くが、彼と対決する坊やの達者な踊りっぷりがとにかく痛快。真っ白な空間で2人が踊る映像は、エレクトリック・ブガルーズのポッピン・ピートが出演したトーキング・ヘッズの名作ヴィデオ「Crosseyed And Painless」(1980)を彷彿させる。その名もずばりBaby Boogalooというこの坊や──ルートパックのMC、ワイルドチャイルドの息子だったりする──は、アロー・ブラックが客演したMED「Where I'm From」(2010)にもちらっと出演している。一押し!


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DO YOU WANNA KNOW MY NEW DANCE STEP? (2011)
Artist: Dog On Fleas | Director: Beth Cramer

 YouTubeで動画をはしごしていて偶然見つけた掘り出し物。舞台は'20年代末、禁酒法時代のもぐり酒場で、大人に扮したチビっ子たちがお遊戯会のような群舞を繰り広げる。ませた会話をする様子もほのぼのとして微笑ましい。'00年代のプリンスのようなジャジー&ファンキーな曲も悪くない。ドッグ・オン・フリーズは、NHK『みんなのうた』的なオリジナル童謡をやっているウッドストックのバンド。


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MIDNIGHT CITY (2011)
Artist: M83 | Director: Fleur & Manu

 フランスのロック・バンド、M83のヴィデオ。超能力を持った子供たちを描いたSF映画風の壮大な作品。'95年にジョン・カーペンターによってリメイク版も作られた『光る眼』(1960)にオマージュを捧げたこの「Midnight City」を皮切りに、大友克洋『AKIRA』な続編「Reunion」(2012)、キューブリック『2001年宇宙の旅』な完結編「Wait」(2012)と、全部で三部作になっている。もはや音楽ヴィデオとは思えない常軌を逸したスケールなのだが……バカだなあ(笑)。


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FIRST OF THE YEAR (EQUINOX) (2011)
Artist: Skrillex | Director: Tony Truand

 こちらもチビっ子超能力者&映画ネタもの。フードを被った幼女の後を追って地下の廃墟に迷い込んだ中年の変質者が、逆に幼女から恐ろしい目に遭わされる。ニコラス・ローグ『赤い影』(1973)のラストシーンの引用だ(フードの色は違うが、ヴィデオ内で幼女はきちんと“赤”と関連づけられている)。この作品では、幼女は超能力者、被害者の男は小児性愛者という設定。『赤い影』のような戦慄はないが、あのラストシーンがトラウマになっている人間にとっては嫌な気分になること請け合い。フードを被った幼女の後は絶対についていってはいけない。


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THE GREEKS (2011)
Artist: Is Tropical | Director: Megaforce

 最後に紹介するのは、イギリスのロック・バンド、イズ・トロピカルの物議を醸したこのヴィデオ。衝撃度でこれを超えるチビっ子ものはないだろう。白昼の住宅街で子供たちが玩具の銃を使って激しい銃撃戦を繰り広げる。そこに手描きアニメーションによる発砲光や血飛沫などが加えられているのだが、その暴力描写がとにかく半端でない。短銃で頭を撃ち抜いたり、自動小銃で蜂の巣にするのは当たり前。子供たちが麻薬の取引をしたり、テロリストに扮して人質の喉笛を掻き切り、血が大量噴射するといった、R指定のバイオレンス・アクション映画も顔負けのショック場面が次から次へと登場する。完全に放送禁止レベルだが、よく見ると、ぬいぐるみのクマの頭を撃ち抜いて血が飛び散ったり、通りがかりの婆さんを撃っても無反応だったり、火炎放射器で敵を火だるまにしている横でオッサンがのんびりバーベキューをしている等、ほのぼのとした(?)場面も出てくる。これは要するに、男子なら子供の時に誰でもやった遊び──銀玉鉄砲などを使った撃ち合い、丸めた新聞紙やプラスチックの刀を使ったチャンバラごっこ──を、徹底的にリアルに映像化したものである。子供の時はそれっぽい発射音を口で言っていたが、ここでは本物の発射音がするし、きちんと血も飛び散る。ある意味、これは子供の夢を叶えた究極のプレイランドと言える。もちろん倫理的な問題はあるだろうし、さすがに悪乗りが過ぎている気もするが、映画的興奮に満ちた傑作であることは間違いない。

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