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Oxmo Puccino──黒いジャック・ブレル



 “現代版ジャック・ブレル”と言われるベルギーのラッパー/歌手、ストロマエを紹介したところで、このノトーリアス・B.I.G.みたいなイカついおっさんである。

 オキシモ・プッチーノ。日本での知名度はストロマエより更に落ちると思うが、彼は“黒いジャック・ブレル”、“ヒップホップ版ジャック・ブレル”とも言われるフランスのベテラン人気ラッパーである。これまたふざけた芸名──イタリアのインチキくさいオペラ歌手みたい──だが、やっている音楽はもちろんマジだ。苦味と甘味がいい案配で溶け合ったプッチーノの音楽は、まるで美味いカプチーノのよう。リリカルで男前な彼のヒップホップ・サウンドは、きっとシャーデー・ファンのツボにもハマるに違いない。


 オキシモ・プッチーノは'74年生まれ。本名 Abdoulaye Diarra(アブラカダブラ……読み方わかんねー)。生まれはサリフ・ケイタやロキア・トラオレらと同じ西アフリカのマリ、育ちはフランスのパリ。当然、仏語を話し、ラップも仏語でやっている。'98年から'13年現在まで、計6枚のスタジオ・アルバムと2枚のライヴ・アルバムを発表している。

Studio Albums:
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OPERA PUCCINO (1998)
L'AMOUR EST MORT (2001)
LE CACTUS DE SIBERIE (2004)
LIPOPETTE BAR (2006) with The Jazzbastards
L'ARME DE PAIX (2009)
ROI SANS CARROSSE (2012)

Live Albums:
Oxmo08.jpgOxmo09.jpg
BLACK TOUR DESPERADO (2005)
MINUTES MAGIQUES (2010)

 初期は割とUS志向だが、シャンソン、ジャズ、ジプシー音楽、ロックなどを取り込みながら徐々に音楽性の幅を広げ、フランスらしいミクスチャー感とリリシズムを湛えた独自のヒップホップ・サウンドを聴かせるようになった。音作りも、後年になるに従ってサンプリングから生演奏を主体にしたものに変わってきている。ターニング・ポイントとなったのは、“オキシモ・プッチーノ&ザ・ジャズバスターズ”名義でBlue Noteから発表された『LIPOPETTE BAR』(2006)。白人4人組バンドと共に、サンプリングと生演奏を組み合わせたジャズ・ヒップホップアルチュール・アッシュみたいな音を展開し、大きく表現の幅を広げた。これに続くソロ名義の『L'ARME DE PAIX』(2009)では、スライ・ジョンソンケイナーンオリヴィア・ルイズ(フランスの女性ポップ歌手)ベン・ロンクル・ソウル(フランスのレトロ・ソウル歌手)といった多彩なゲスト陣を向かえながら、“シャンソン・ヒップホップ”と言うべき独自のスタイルを確立。それに磨きをかけた最新盤『ROI SANS CARROSSE』(2012)は、余裕のキャリア最高作となっている。

 プッチーノは一体どんなことを歌っているのかと訊かれれば、“ん〜……わかんない!”と(ローラ風に)答えるしかない。音楽は国境を越えると言われるが、言葉の壁はやはり厚い(泣)。リリックが理解できない以上、ジャック・ブレルとの類似点も私にはきちんと説明することができないのだが、一応、分かりやすい接点を示しておくと、彼は『L'HIP-HOPEE: LA GRANDE EPOPEE DU HIP-HOP FRANCAIS』(2000)という仏ヒップホップ勢によるシャンソン・カヴァー集でブレルの代表曲「Ces gens-la」をカヴァーしている他、5th『L'ARME DE PAIX』では、「Sur la route d'Amsterdam」という「Amsterdam」の替え歌パロディをやっていたりする。また、近年はラップだけでなく、歌も少し歌うようになっていて(決して上手くはないが)、最新作ではヒップホップ版「Padam Padam」といった風情の「Pam Pa Nam」という名曲も生まれている。

 彼の作品は歌詞を理解してこそ真価が分かるだろうし、対訳つき日本盤がないのが本当に残念なのだが、とりあえず、音だけでも十分に聴く価値のあるアーティストだと言っておきたい。興味のある人には、最新作から溯って聴いていくことをお勧めする(初期もカッコいい)。





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