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プリンスを1位にしろ!


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 アメリカのRadio & Records誌、'87年4月3日付CHRチャートのトップ10。リアルタイムで当時の全米ヒット・チャートを追いかけていた私にとっては、ひたすら懐かしいラインナップである。

 大体どの曲も覚えているが、とりわけ印象深いのは3位のクラブ・ヌーヴォー「Lean On Me」。人懐こいメロディと歯切れのいいリズム、セピア調のノスタルジックなクリップが大好きだった。言うまでもなくビル・ウィザーズのカヴァーだが、最初に聴いたのがクラブ・ヌーヴォー版だったということもあり、個人的にはオリジナル版よりも思い入れが強かったりする(ちなみに、この時はシンディ・ローパーの「What's Going On」も19位にランクイン。これも好きだった)。4位のクラウデッド・ハウス「Don't Dream It's Over」も、横にスクロールしていく幻想的なヴィデオと共に懐かしく思い出される。ジェネシス「Tonight, Tonight, Tonight」のヴィデオは『ブレードランナー』風のやつだったよなあ、とか、当時のヒット曲は大体どれも映像とセットで記憶に残っている。

 この中で異彩を放っているのは、何と言っても10位のプリンス「Sign "O" The Times」だろう。あのスカスカなミニマル・ファンク・サウンドは、当時まだ子供だった私の耳にも明らかに異質なものに聞こえた(と言っても、凄さはまだよく理解できず、単純に“変な曲だなあ”と思いながら聴いていた)。タイポグラフィだけで構成されたヴィデオもまたクールだった。これは現在、YouTubeでお馴染みの“Lyric Video(歌詞ヴィデオ)”の完全な先駆けである。当時、プリンスはそれを正式な音楽ヴィデオとして発表したのだった(これも当時は凄さがよく分からず、“手抜きっぽいなあ”とか思いながら見ていた)。「Sign "O" The Times」は、翌週の'87年4月10日、および、翌々週の4月17日付の同チャートで最高6位を記録することになる。'80年代、プリンスはこういう革新的な作品を次々とヒット・チャートの上位に送り込んでいた。


 当時の日本の洋楽ファンに欠かせなかった音楽番組のひとつに、テレビ朝日で毎週土曜夜に放映されていた〈ベストヒットUSA〉がある。'80年代に洋楽を聴いて過ごした人で、この番組を見ていなかった人はいないだろう。私も毎週欠かさずチェックし、司会の小林克也の名調子とあわせて、アメリカの最新のヒット曲の数々を映像と共に楽しんでいた。その〈ベストヒットUSA〉で毎週紹介されていたのが、Radio & Records誌('09年廃刊)のCHRチャートだった(CHR=Contemporary Hit Radioは、ヒット曲を中心にかけるラジオ局のこと。R&R誌のランキングはレコードの売り上げ数を含まず、ラジオでのエアプレイ数を基に決められていた)

 上掲の'87年4月3日付チャートが紹介された放送回も、私はいつものように番組を見ていた。なぜ見たことをはっきり覚えているかと言うと、その回は番組内で衝撃的な“事件”が起きたからである(実はβマックスで録画もしていた。今はデッキがなくて見られないが)。今回、R&R誌の古いチャートを引っ張り出したのも、その“事件”を多くの人に知ってもらいたいと思ったからである。どういう事件かと言うと、10位だったはずのプリンスが番組の途中でいきなり1位になった。当時子供だった私に、その場面は破壊的なインパクトを与えた。全く信じられない光景だった。そんなことがあるのかと驚いたし、26年経った今考えてもスゴいと思う。

 プリンスがどのように1位になったかは、上のチャート表をクリックすれば分かる。あなたにも是非、このファンキーな事件の目撃者になってもらいたいのだ。



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