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こんな日が来るとは思わなかった

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 『STRONGER THAN PRIDE』(1988)に収録されている穏やかなナンバー「I Never Thought I'd See The Day」。エレピやサックスを中心にした清涼感溢れるサウンドは依然としてスムーズ・ジャズ色が強いが、ビートレスのシンプルな演奏から立ち上がるアデュのエモーショナルなヴォーカルには、4年後の名曲「Pearls」にも通じるスケール感や緊張感が既に幾分感じられる。リロイ・オズボーンと共作されたこの曲は、'88年ツアーでも披露された。


 I Never Thought I'd See The Day
 (Adu/Osbourne)
 
 You shed a shadow on my life
 Shed a shadow on a love
 Took the shelter out of my life
 Took the shelter of a lie
 
 あなたは私の人生を陰らせた
 愛を陰らせた
 私の人生から逃げ場をなくした
 嘘という逃げ場を
 
 I could see it in your restless eyes
 The truth I was hiding
 The truth you could not disguise
 
 あなたの落ち着かない瞳に映っていた
 私の隠していた真実が
 ごまかしきれない真実が
 
 But I never thought I'd see the day
 I knew I'd need a miracle to make you stay
 I knew
 I needed
 A miracle
 And I never thought I'd see the day
 
 でも こんな日が来るとは思わなかった
 あなたを留まらせるには奇蹟が必要だと
 分かっていた
 奇蹟が
 必要だと
 こんな日が来るとは思わなかった
 
 You put a shadow on a love
 Took a shelter of a lie
 Took the shelter out of my life
 
 あなたは愛を陰らせた
 私の人生から逃げ場を
 嘘という逃げ場をなくした
 
 I wish you could shelter me
 Shelter me now
 I need a miracle
 And I never thought I'd see the day
 
 あなたに匿って欲しい
 私を匿ってちょうだい
 奇蹟が欲しい
 こんな日が来るとは思わなかった


 「I Never Thought I'd See The Day」はアルバムの最後から2番目に収録されている。最終曲「Siempre Hay Esperanza」がおまけ的なインスト曲──映画のエンドロール部分を思わせる──なので、実質的にはアルバムのエピローグとも言える作品だ。冒頭の「Love Is Stronger Than Pride」と同じく失恋の歌であり、アルバム全体に漂う恋の微熱ムードをクールダウンさせながら本編を見事に締め括っている。この歌の余韻の後には、再び冒頭の「Love Is Stronger Than Pride」が、あるいは、4年後の鬼の恋歌「No Ordinary Love」のイントロが聞こえてくるようだ(同様に“Shelter me”と懇願するイーフレイム・ルイス「Skin」──サウンドが「No Ordinary Love」とそっくり──も個人的には聞こえてきたりする)

 ちなみに、終幕のインスト曲のタイトル「Siempre Hay Esperanza」は、スペイン語で“必ず希望はある(There is always hope)”の意味。スチュアート・マシューマンのサックスをフィーチャーしたマイナー調の曲には、楽観的なタイトルとは裏腹にどことなく不穏さが漂っており、これもやはり後の「No Ordinary Love」の登場を予感させる。当時のシャーデーには、ボブ・マーリーのように“Everything's gonna be alright”と歌うだけの強さや余裕はまだなかったように思われる。逃げ場をなくした“私”は、4年後、誰も歌ったことのないようなアーバン・ブルースを歌う。

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