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Robert Palmer──パーマー娘におぼれて(part 1½)


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Further listening:
The Rolling Stones - Emotional Rescue (1980)
Aaliyah - Got To Give It Up (1996)
The Brand New Heavies - Saturday Nite (1999)
Madonna - Give It 2 Me [feat. Pharrell] (2008)
Justin Timberlake - Got To Give It Up [live] (2008)
Mayer Hawthorne - Henny & Gingerale (2011)
Parov Stelar - Keep On Dancing [feat. Marvin Gaye] (2013)


 ロバート・パーマーの他界から10年後の'13年夏、アメリカのブルーアイドR&B歌手、ロビン・シック Robin Thicke の「Blurred Lines(邦題:ブラード・ラインズ〜今夜はヘイ・ヘイ・ヘイ♪)」が世界中で爆発的ヒットを記録した。ロビン・シックはパーマーと同じマーヴィン・ゲイ信奉者。黒スーツ姿のロビンがトップレスのモデル美女たちを侍らせて歌うスタイリッシュなバカ・ヴィデオを目にした時、私は即座に「Addicted To Love」を連想した。

 「Blurred Lines」('13年3月20日公開)は一見したところ女性蔑視的だが、ダイアン・マーテル Diane Martel(マライア・キャリー、ビヨンセ、アリシア・キーズなどを手掛けてきた女性ヴィデオ監督)による徹底して享楽的な演出は、「Addicted To Love」と同じく、“男子の夢”を戯画的に描いているようにも思える(つまり、“男ってバカよね”的な視点)。但し、皮肉の利き方は「Addicted To Love」ほどではなく、本気で心から“ヘイ・ヘイ・ヘイ♪”と言っているようにも見える。この傍若無人なセックス・アピールとイケイケ感は何なのか。ロビン・シックの風貌は完全にジョージ・マイケルである。「Addicted To Love」ミーツ「I Want Your Sex」? ロビン・シックは本当にデカ○○なのか? 本気なのか冗談なのか分からない、まさに“曖昧な線”を行ったところに「Blurred Lines」の成功があったと言えるかもしれない。まあ、男性視聴者にとっては結局、エロいおネエちゃんさえ出てくれば何でもいいのだが(これだけはハッキリしている)。


やられたらやり返す。パクリ返しだ!

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「F**kin' Problems」(監督:Sam Lecca & Clark Jackson/'12年12月4日公開)

 「Addicted To Love」にも似ている「Blurred Lines」だが、このヴィデオに直接的に影響を与えたと思われる作品は、そのちょっと前にヒットしたエイサップ・ロッキーF**kin' Problems」のヴィデオである。複数の男たち(エイサップ、ドレイク、2チェインズ、ケンドリック・ラマー)がスタジオ内で無地の背景をバックにセクシーな美女たちを侍らせて歌う「F**kin' Problems」の演出と「Blurred Lines」のそれは実によく似ている。「F**kin' Problems」をより享楽的にし、洒脱なアレンジを加えて出来たのが恐らく「Blurred Lines」に違いない。

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「Fashion Killa」(監督:Virgil Abloh & A$AP Rocky/'13年9月26日公開)

 「Blurred Lines」のヒット後に公開されたエイサップ・ロッキーのヴィデオ「Fashion Killa」では、買い物デートを楽しむエイサップとリアーナの映像の上に、曲タイトルや歌詞の一部が「Blurred Lines」風に大写しで表示される(さすがにハッシュタグは付いていないが)。「Blurred Lines」のパクリのようにも見えるが、これは「F**kin' Problems」をパクったロビン・シックに対するエイサップの“パクリ返し”と解釈するべきだろう。ロビン・シックはこれを見て苦笑いしたはずである。


ロビン・シックがやって来た ヘイ!ヘイ!ヘイ!

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「ブラード・ラインズ〜今夜はヘイ・ヘイ・ヘイ♪〜“俺たちツイてるぜ”ヴァーション」

 '13年9月にプロモーションで来日した際、ロビン・シックは日本の芸能人と組んで「Blurred Lines」の自己パロディ・ヴィデオを2本制作した。

 ロビン・シック×AKB48「ブラード・ラインズ〜今夜はヘイ・ヘイ・ヘイ♪('13年9月26日公開)は、AKBの大島優子と小嶋陽菜が楽屋で「Blurred Lines」のヴィデオを見ていたところに、ロビン・シック本人がモデル美女たちと共に現れ、2人をヴィデオの世界へ連れていって皆で楽しくヘイ・ヘイ・ヘイ♪という作品。

 ロビン・シック×平成ノブシコブシ「ブラード・ラインズ〜今夜はヘイ・ヘイ・ヘイ♪〜“俺たちツイてるぜ”ヴァーション('13年10月10日公開)は、'13年5月に競馬で549万5000円の高額配当をゲットしたツイてる男、吉村崇(平成ノブシコブシ)が、今度は女もゲットしたいと願ったところへ、音楽界のツイてる男、ロビン・シックが登場し、やはりヴィデオの世界へ飛んで女の子たちと楽しくヘイ・ヘイ・ヘイ♪という作品。

 トップレス版がないのはちょっと残念だが、どちらもとても良い出来。特に吉村崇を主人公にした「“俺たちツイてるぜ”ヴァーション」は、着物姿の日本女子、提灯、達磨などを使った和風アレンジの面白さに加え、夢オチの筋書きが「Blurred Lines」ヴィデオの夢想的な世界観とマッチしていて秀逸だ。夢の中でもなかなかロビン・シックのようにカッコ良くいかない吉村崇の情けないキャラもうまくハマっていると思う(スプレーを吹きかけられる場面が特にいい)。実は、面白いことに「Addicted To Love」でもこれと全く同じ発想のパロディ作品が過去に作られていたりする。パロディの流行り方、作られ方においても「Blurred Lines」と「Addicted To Love」はよく似ている(「Addicted To Love」のパロディは“パーマー娘におぼれて(part 2)”で取り上げる)

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生放送での歌唱中にマイクを落としたロビン・シック(オイ、オイ、オイ!)

 プロモ来日中、ロビン・シックは日本テレビの朝の情報バラエティ番組〈スッキリ!!〉に生出演し、スタジオで「Blurred Lines」を歌った('13年9月10日放映)。カラオケをバックにした生歌唱。マブいおネエちゃんを3人従え、オリジナル版よりも熱い歌声を披露するロビンだったが、パフォーマンス中にマイクを床に落とすという思わぬアクシデントが(カッコよく右手から左手へマイクを投げて持ち替えようとした)。落とした瞬間、“ボコッ!”と大きな音。番組レギュラー陣がいるテーブルの下に転がり込んだマイクを慌てて拾い上げ、何事もなかったように再び歌い始めたロビン・シックは、司会の加藤浩次から逆に“ヘイ・ヘイ・ヘイ!(オイ、オイ、オイ!)”とつっこまれた。パフォーマンス終了後、その場ですぐに映像がプレイバックされ、マイクを落とした場面を見て一同大爆笑。“これは日本だけの特別パフォーマンスです”などと適当なことを言うロビン・シック。この時の放送をたまたま見ていた私は、テレビの前で大爆笑してしまった。

 皆の夢を叶える“ヘイ・ヘイ・ヘイ”マン=ロビン・シック。決め台詞は“I know you want it(キミだって欲しいんだろ)”。彼はファンタジーの世界からやって来た。もしかすると、彼は現代の大人版ピーターパンなのかもしれない(連れてって欲しいな、“ヘイ・ヘイ・ヘイ”ランド!)。ロビン・シックには「Blurred Lines」のセクシーおネエちゃんヴィデオをシリーズ化してもらい、是非ともロバート・パーマーの轍を踏んでもらいたいものだ。


 ……最後に一応言及しておくが、「Blurred Lines」の著作権を巡ってマーヴィン・ゲイ遺族がロビン・シックを訴えたというは本当に酷いなと思う。これが盗用なら、音楽界(というか、古今東西の芸術の歴史そのもの)は盗人だらけということになってしまう。曲があまりにもヒットしたせいもあるかもしれないが、それにしても。マーヴィン・ゲイ本人が生きていたら、きっと笑ってこの曲を支持したと思う(それどころか、“俺もヴィデオに出させろ”と言って、「Blurred Lines feat. Marvin Gaye」という続編ヴィデオが実現していた可能性すらある)。ロビン・シックは断固として戦い、自分の作品を守るべきだ。


Robert Palmer──パーマー娘におぼれて(part 1)
Robert Palmer──パーマー娘におぼれて(part 1½)
Robert Palmer──パーマー娘におぼれて(part 2)
Robert Palmer──パーマー娘におぼれて(part 2½)
Robert Palmer──'79年のホット・サマー・ナイト

| Man's Man's Man's World | 02:32 | TOP↑

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