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Janelle Monae──ジャネルはSimply Irresistible




 ジャネル・モネイが、なんとロバート・パーマー「Simply Irresistible」(1988)をカヴァーした。ライヴではなく、スタジオ録音である。

 昨年末にロバート・パーマー追悼特集連載をやったばかりだったので、“ジャネルはこのブログの読者なのか?”などと一瞬思ってしまったが、そんなことがあるはずはなく、確認してみれば、それは米ケーブル・テレビ局、E! Entertainment Televisionが放映する各種授賞式のレッド・カーペット中継番組〈Live from the Red Carpet〉のための今季テーマ曲として企画/録音されたものなのだった。番組が選んだ楽曲がパーマーの「Simply Irresistible」で、それを4組のアーティスト──ジャネル・モネイチャーリーXCX(イギリスの女性ポップ歌手)ザ・ロイヤル・コンセプト(スウェーデンのロック・バンド)フィッツ&ザ・タントラムズ(スタイル・カウンシルみたいなアメリカのポップ/ソウル・バンド)──がそれぞれカヴァーしている。もともと局の公式サイト、E! Onlineの'13年12月23日付け記事で紹介されたものだったが、それが'14年3月2日のアカデミー賞の際に注目され、StereogumPitchforkなどの音楽メディアを通じて一気に世界中に知れ渡った(私も数日前に初めて知って驚いた)


 他の3組はいいとして、注目のジャネル・モネイ版。それなりに原曲の雰囲気を保ちつつ、ニュー・ウェイヴ感たっぷりのチープなシンセ使いでストゥージズばりのロウ・パワーが炸裂するジャネルらしさ全開の好カヴァーに仕上がっている(珍カヴァーとも言えるが)。アホっぽい掛け声やシケたグラム調のハンドクラップが痛快。後半では、例によって必要以上にスケールのデカいワンダランド印の流麗なストリングスも登場(笑)。この“なんでやねん”的な展開、取って付けたようなコラージュっぽい編曲センスがたまらない。全体的にはいかにも「Q.U.E.E.N.」をロック寄りにしたようなサウンドで、これまたプリンスっぽいと言えばプリンスっぽいのだが、プリンスをも凌ぐ強烈なヘッポコ感、ポンコツ感──アウトキャスト「Hey Ya!」に通じる屈折したロック解釈──があって、そこがすごくジャネルらしいなと思う。ハードロックにリズム&ブルース〜ファンクのエッセンスを注ぎ込んだパーマーの原曲との相性も良いのだろう。なんか、異様な弾けっぷりである。こういうバカみたいに元気なジャネルは最高だ。ポンコツ少女、ジャネル・モネイの真骨頂と言うべき傑作ではないだろうか。

 それにしても面白い展開である。ロバート・パーマー「Simply Irresistible」→ビヨンセ「Green Light」→ジャネル・モネイ「Q.U.E.E.N.プリンス曰く“2013年で最高のヴィデオ”)と来て、今回のカヴァーで見事にまた「Simply Irresistible」に戻った。すごい繋がり方! テレビ局の企画で実現したカヴァーではあるが、いつもスーツで決めていたロバート・パーマーは、考えてみれば、ジャネルにとって様々な点でインスピレーショナルなアーティストかもしれない(どうせなら「Every Kinda People」を歌って欲しかったが……)

 上の即席ジャケ画像のマイクはビヨンセからの借り物である。ジャネルには是非ともこの曲でロバート・パーマーのパロディ・ヴィデオを作って欲しい。監督はアラン・ファーガソン。28世紀のロック・スターのMVという設定で、もちろん自分そっくりのアンドロイド娘をわんさか侍らせて。


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〈セサミ・ストリート〉にも登場。もはや国民的アイドル!

 その他、最近のジャネル・モネイの新録としては、アメリカで'14年4月に公開予定のアニメ映画『Rio 2』──『ブルー 初めての空へ(Rio)』(2011)の続編──の主題歌「What Is Love」がある。映画の舞台リオに合わせたオリジナルのサンバ調ソウル・ナンバーで、こちらも好調(Aメロが「I Wanna Be Where You Are」っぽい)。ジャネルが映画のアニメ・キャラたちの前でオーディションを受けるという趣向の簡易的なMVも制作された。サントラ盤は'14年3月25日発売。この映画にジャネルはブルーノ・マーズと共に声優としても参加している。

 また、ジャネルは日本でも有名なアメリカの子供教育番組〈セサミ・ストリート〉にも出演。収録が行われたことが'14年1月に報じられ、Billboard誌を通じて舞台裏映像も公開されている。番組内でジャネルは、番組の音楽監督であるビル・シャーマン Bill Sherman の作による「The Power Of Yet(ふんばる力)」という曲を歌っている。彼女の登場回は'14年9月から始まる第45シーズンの内のひとつとして放映されるようだ。『Rio 2』とあわせて、ちびっ子たちの支持率アップは必至だろう。

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次々とモネイ化する子供たち

 子供向けメディアにも進出し、広い範囲でますます影響力を強めているジャネル・モネイ。アメリカでは既に幼児たちのモネイ化現象が相次いで報告されている。日本でも昨年秋、大阪である女性歌手が突如としてモネイ化するという事件があり、人々を驚かせたことは記憶に新しい。ジャネル・モネイのクローンは増加の一途にある。私たちの世界は、彼女が予告する未来世界に着実に近づきつつあるのだ!



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