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Paloma Faith──やってられないわ



 パロマ・フェイスの会心作『A PERFECT CONTRADICTION』('14年3月10日発売)から1stシングルに切られたファレル・ウィリアムズ制作の「Can't Rely On You」。2ndシングル「Only Love Can Hurt Like This」を拙訳で紹介したついでに、こちらも訳しておきたい。

 個人的にはジャネル・モネイ「Tightrope」(2010)以来のツボ曲。「Tightrope」はJBだったが、こちらはアレサ・フランクリン。往年のソウル・ミュージックのエッセンスをモダンに、飽くまでタイトに蘇生させたファレルのプロダクション、ジャネル並みに小さな身体で豪快に歌い飛ばすパロマのヴォーカルが痛快すぎる。まるでスウィート・インスピレーションズを従えたパティ・ラベルのような切れ具合。『WATTSTAX』(1973)のソウル・チルドレン「I Don't Know What This World Is Coming To」冒頭の定番声ネタ──ジェシー・ジャクソンによる紹介アナウンス──のハマリ具合も最高だ。

 「Blurred Lines」に似ていることよりも、むしろ「Tightrope」との類似の方が重要ではないだろうか。エイミー・ワインハウス以降、雨後の筍のように登場した擬似ヴィンテージ・ソウル(レトロ・ソウル)。JBマナーのジャネル「Tightrope」には、しかしながら、それらに共通するノスタルジーの感覚が全くなかった。それは、ファレルの'60年代マーヴィン・ゲイ〜カーティス・メイフィールド調ナンバー「Happy」にも言えることである。ノスタルジーに世界中のチャートで1位を取る力などあるはずがないのである。「Happy」も、そしてこの「Can't Rely On You」も、ジャネルの「Tightrope」がなければ生まれていなかったに違いない。




 Can't Rely On You
 (Pharrell Williams)
 
 Help me
 How are you gon' do love this way?
 I work so hard for you everyday
 While you're out
 Late night
 Doing what you do
 Chilling with who
 While I'm sitting at home
 Come on with it
 
 ちょいと
 一体どういうつもりよ?
 こっちは毎日家事に追われてるってのに
 あんたときたら
 午前様
 好き勝手に
 遊び歩いて
 あたしは家でじっとしてるって
 どういうことよ
 
 (I don't know what this world is coming to)
 
 (この世は一体どうなってしまうんだ)
 
 I just can't rely on you
 I just can't rely on you
 Yeah you got that good stuff but that don't last
 So I just can't rely on you
 
 やってられないわ
 やってられないわ
 立派なモノをお持ちだけど 即終了
 あんたとはやってられないわ
 
 Oh lord
 How am I to ever explain
 How my melted heart went right down the drain
 Cause if you don't want me
 Release
 Beep beep
 Want some
 Take me
 He will take me right out your way
 Come on with it
 
 まったく
 この気持ちがあんたにわかる?
 百年の恋もさすがに冷めきったわ
 あたしが要らないなら
 これっきり
 さあさあ
 どうよ
 金輪際
 あんたと係わり合うのはごめんだわ
 そういうことよ
 
 (I don't know what this world is coming to)
 
 (この世は一体どうなってしまうんだ)
 
 I just can't rely on you
 I just can't rely on you
 Yeah you got that good stuff but that don't last
 So I just can't rely on you
 
 やってられないわ
 やってられないわ
 立派なモノをお持ちだけど 即終了
 あんたとはやってられないわ
 
 Going to go
 Really
 You can say what you
 Want
 But I'm out that door
 You can't stop me
 Oooooh weeeeeee
 Oh my man
 Oh lord
 
 今度という今度は
 本気よ
 ほざけばいいわ
 何とでも
 あたしは出ていく
 止めても無駄
 Oooooh weeeeeee
 やれやれ
 まったく
 
 (I don't know what this world is coming to)
 
 (この世は一体どうなってしまうんだ)
 
 I just can't rely on you
 I just can't rely on you
 Yeah you got that good stuff but that don't last
 So I just can't rely on you
 
 やってられないわ
 やってられないわ
 立派なモノをお持ちだけど 即終了
 あんたとはやってられないわ
 
 Just telling you like it is
 Wait a minute
 Wait a minute
 Change your ways
 Don't I deserve it babe
 Cause boy you drive me out of my mind
 
 本当のこと言ってるだけよ
 あのね
 あのね
 改心なさいね
 あたしの言ってることおかしい?
 あんたって人はほんとド頭にくるのよ
 
 I just can't rely on you
 I just can't rely on you
 Yeah you got that good stuff but that don't last
 Ain't good enough for me baby
 
 やってられないわ
 やってられないわ
 立派なモノをお持ちだけど 即終了
 ちっとも満足できやしない
 
 
 アルバム全体を牽引する傑作ファンキー・ソウル。直訳すると全くニュアンスが伝わらなくなるので、掛け声系の部分も含めて思い切り意訳することにした。映画『ブルース・ブラザース』(1980)で、アレサ・フランクリンが「Think」を歌いながら夫のマット・マーフィーに女の言い分を捲し立てる傑作場面があるが、まさにああいう乗りの歌である。女が男に三行半を突きつける強烈パンチの感覚が伝われば何よりだ。




 「Can't Rely On You」には“Live from the Kitchen”という生演奏版がある。その名の通り、台所でアンプラグドなパフォーマンスを披露しているのだが、これがまた最高だ。演奏の熱さに加え、臨場感溢れる台所のエコーが実にいい感じ。主婦の魂の叫びがよく伝わってくる(笑)。赤いチェック柄のタキシードを着たパロマは、まるでアニー・レノックス('95年セントラル・パーク公演)とジャネル・モネイが合体したようだ。この台所録音は、そのまま『A PERFECT CONTRADICTION』デラックス版にボーナス収録されている。ボートラ4曲(スチュアート・マシューマン制作トラック含む)はどれも素晴らしいので、アルバムを買うなら絶対にデラックス版がお薦めである。

 パロマ・フェイスはこれまでエイミー・ワインハウスと被らないよう方向性を模索してきたように思うのだが、エイミーの他界でその必要がなくなり、3作目となる今回の新譜で最高に弾けた。ジャネル・モネイやラナ・デル・レイといった、ここ数年で登場したアメリカの女性アーティストたちの存在も良い刺激になっているのだろう。シャーデーの後輩でもあるパロマ・フェイス(セント・マーティンズ芸大出身。スペイン系イギリス人で、アルモドバル映画のファン)。彼女にはエイミーの分まで頑張って欲しい。


何ものも僕らを引き裂けない(パロマ・フェイスによるインエクセス「Never Tear Us Apart」のカヴァー、および、それを使用したイギリスの百貨店のCFの紹介)
Paloma Faith──恋の仕打ち

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