2017 07123456789101112131415161718192021222324252627282930312017 09

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

Bill Withers──おばあちゃんの手




 ビル・ウィザーズの「Grandma's Hands」を今更ながら和訳してみた。デビュー作『JUST AS I AM』(1971)収録の言わずと知れた大名曲。当時シングル発売され、全米ソウル・チャートで最高18位のヒットも記録した。同時期に発表された藤子不二雄『ドラえもん』の名作「おばあちゃんのおもいで」(てんとう虫コミックス『ドラえもん』第4巻収録/『小学三年生』'70年11月号初出)とあわせて聴きたい、亡き祖母についての心温まる歌だ。淡々とした語り口が心に深く染みる。おばあちゃんに対するウィザーズの思いが行間に溢れている。彼のこうした簡素なストーリーテリングの作法は、シャーデー作品にも受け継がれている。




 Grandma's Hands
 (Bill Withers)
 
 Grandma's hands clapped in church on Sunday morning.
 Grandma's hands played the tambourine so well.
 Grandma's hands used to issue out a warning,
 She'd say, "Billy don't you run so fast,
 Might fall on a piece of glass,
 Might be snakes there in that grass,"
 Grandma's hands
 
 おばあちゃんの手は日曜の朝の教会で鳴り響いた
 おばあちゃんの手はタンバリンを上手に叩いた
 おばあちゃんの手は僕をよく引き止めた
 「これこれ そんなに走っちゃあぶないよ
  転んでガラスでケガするよ
  草むらにヘビがいたらどうするんだい」
 おばあちゃんの手
 
 Grandma's hands soothed a local unwed mother
 Grandma's hands used to ache sometimes and swell
 Grandma's hands used to lift her face and tell her,
 She'd say, "Baby Grandma understands,
 That you really loved that man,
 Put yourself in Jesus' hands."
 Grandma's Hands
 
 おばあちゃんの手は近所の未婚の母親をなだめた
 おばあちゃんの手は時に痛んで赤くなった
 おばあちゃんの手はその人の顔をそっと持ち上げた
 「よしよし おばあちゃんにはわかるよ
  彼のこと本当に愛してたんだね
  神さまの思し召しに従うんだよ」
 おばあちゃんの手
 
 Grandma's hands used to hand me piece of candy.
 Grandma's hands picked me up each time I fell.
 Grandma's hands, boy they really came in handy
 She'd say, "Mattie don't you whip that boy.
 What you want to spank him for?
 He didn't drop no apple core,"
 But I don't have Grandma anymore,
 If I get to heaven I'll look for
 Grandma's hands.
 
 おばあちゃんの手はよく飴を渡してくれた
 おばあちゃんの手は転ぶたびに僕を起こしてくれた
 おばあちゃんの手はいつでも僕をかばってくれた
 「これこれ その子を叩くんじゃないよ
  なんでお尻をひっぱたくんだい
  道にリンゴの食べかすなんか捨てちゃいないよ」
 だけど おばあちゃんはもういない
 天国に召されたら僕は探す
 おばあちゃんの手を


【訳註】
 ビル・ウィザーズ(本名 William Harrison Withers Jr.)は3歳の時に両親が離婚し、かなり複雑な家庭環境に育ったようだ。3番に出てくる“Mattie”はビルの母親、Mattie Rose Gallowayのこと。幼少時のビルは、母親のMattieと父親のWilliam Harrison Withers Sr.の間を行ったり来たりしていたようだが、13歳の時に父親が病死してからは、もっぱら母親と祖母に育てられている。“おばあちゃん”は、ビルの母方の祖母(Mattieの実母)で、名前はLula Carter Gallowayといった。Lulaさんは'53年、ビルが15歳の頃に亡くなった(出典:LifeChums)。おばあちゃんの手が“痛んで赤くなった”という2番の一節が少し分かりにくいかもしれないが、これは文脈的に恐らく“近所の未婚の母親”の頬をひっぱたいて諭したからだろう。尚、『JUST AS I AM』国内盤の対訳は未確認(そちらにはもっと良い訳が載っているかもしれない)。


次回へ続く


関連記事:
Sabrina Starke──麗しのサブリナ(ビル・ウィザーズのカヴァー集を発表したオランダのネオ・ソウル歌手)

| Man's Man's Man's World | 04:00 | TOP↑

PREV | PAGE-SELECT | NEXT