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ArethaGeorge──愛のおとずれ(再び)



さあ可愛いその手を僕に預けて
Then put your little hand in mine
どんな丘や山も2人で越えていけるさ
There ain't no hill or mountain we can't climb


I Got You Babe (1965)
Written by Sonny Bono
Performed by Sonny & Cher





あなたを愛してしまったのかしら
Do I love you my oh my
河のように深く 山のように高まる想い
River deep, mountain high yeah yeah yeah
あなたを失ったら泣いてしまう
If I lost you would I cry
こんなに想っているんだもの
Oh how I love you baby, baby, baby, baby


River Deep - Mountain High (1966)
Written by Phil Spector, Jeff Barry, Ellie Greenwich
Performed by Ike & Tina Turner





どんなに高い山も越え
There ain't no mountain high enough
どんなに深い谷も越え
Ain't no valley low enough
どんなに広い河も越え
Ain't no river wide enough
あなたのもとへ辿り着くから
To keep me from getting to you


Ain't No Mountain High Enough (1967)
Written by Nickolas Ashford, Valerie Simpson
Performed by Marvin Gaye & Tammi Terrell




 I Knew You Were Waiting (For Me)
 (Simon Climie/Dennis Morgan)
 
 Like a warrior that fights
 And wins the battle
 I know the taste of victory

 まるで勇者のように
 戦い抜いて
 勝利を味わう私

 Though I went through some nights
 Consumed by shadows
 And was crippled emotionally
 
 真っ暗な夜もあった
 闇に苛まれて
 心が打ちひしがれたことも
 
 Somehow I made it through the heartache
 Yes I did, I escaped
 I found my way out of the darkness
 I kept my faith, kept my faith
 
 なんとか心の痛手を乗り越えた
 そうとも 無事にね
 暗闇から抜け出すことができた
 進んだのさ 信じる道を
 
 When the river was deep I didn't falter
 When the mountain was high I still believed
 When the valley was low it didn't stop me
 I knew you were waiting
 Knew you were waiting for me
 
 河が深くても ひるまずに
 山が高くても 迷うことなく
 谷が深くても 進み続けた
 あなたが待っていると
 あなたが待っていると知ってたから
 
 With an endless desire
 I kept on searching
 Sure in time our eyes would meet

 尽きせぬ望みを胸に
 探し続けたわ
 2人は今に結ばれると信じながら

 And like the bridge is on fire
 The hurt is over
 One touch and you set me free
 
 橋が焼け落ちるように
 苦しみは終わった
 その手であなたが解放してくれた
 
 No, I don't regret a single moment
 No, I don't, looking back
 When I think of all those disappointments
 I just laugh, I just laugh
 
 一瞬たりとも後悔はしてない
 そうとも 過去は過去
 思えば絶望したこともあったけど
 笑い話さ 今じゃすべて
 
 When the river was deep I didn't falter
 When the mountain was high I still believed
 When the valley was low it didn't stop me
 I knew you were waiting
 Knew you were waiting for me
 
 河が深くても ひるまずに
 山が高くても 迷うことなく
 谷が深くても 進み続けた
 あなたが待っていると
 あなたが待っていると知ってたから
 
 So we were drawn together through destiny
 I know this love we shared was meant to be
 
 2人は運命で引き寄せられたのね
 こうして愛し合うさだめだった
 
 Knew you were waiting
 Knew you were waiting
 Knew you were waiting for me
 
 あなたが待っていると
 あなたが待っていると
 あなたが待っていると知ってたから


 ArethaGeorge(アリーサジョージ)というのはアルーナジョージのパクリ・ユニットではなくて、もちろん、アレサ・フランクリンジョージ・マイケルのことである。'87年1月にシングル発売されて全米/全英1位を記録した「I Knew You Were Waiting (For Me)」。当時の洋楽ファンでこの曲を知らない人はいないと思う。邦題「愛のおとずれ」。ジョージ・マイケルとのこの共演曲で、アレサは「I Say A Little Prayer」(1968/全米10位)以来、20年ぶりに全米トップ10入りを果たした。前回の「Sisters Are Doin' It For Themselves」(1985)に続き、今回は個人的にも大変懐かしい──そして、アレサの新録曲「Rolling In The Deep」とも関係がある──このメガヒット曲の歌詞を和訳することにした。

 楽曲自体はそこそこの出来(中の上くらい?)といった感じだが、歌詞が技アリである。男女カップルによる一種の“天城越え”ソングなのだが、先に示した歌詞を見比べてもらえれば分かる通り、'60年代の男女デュオの名曲──ソニー&シェール「I Got You Babe」(1965)、アイク&ティナ・ターナー「River Deep - Mountain High」(1966)、マーヴィン・ゲイ&タミー・テレル「Ain't No Mountain High Enough」(1967)──へのオマージュになっている。特に重要なのは「Ain't No Mountain High Enough」だろう。これら3組の男女デュオは同曲の音楽ヴィデオにも映像で登場し、('80〜90年代の流行を引用した現在の音楽ヴィデオと同じように)当時、中高年の音楽ファンのノスタルジーを誘った。マーヴィン・ゲイの他界から僅か3年という時期も重要だと思う。ベテランのアレサと若手のジョージ・マイケルががっちり組み、往年の名曲の感動を現代に蘇らせたこの曲は、幅広い世代から支持を受けることになった。ヒットして当然の歌なのである。

 アレサの存在感は言うまでもないが、改めてヴィデオを見ながら聴くと、ジョージの熱演にアレサや先人たちに対するリスペクトを感じて胸が熱くなる。当時、〈ベストヒットUSA〉などで眺めていた時は何も感じなかったのだが……私も年を取ったということか。一般的にまだアイドル歌手と見なされていたジョージ・マイケルは、このヒットから間もなくして超傑作ソロ・アルバム『FAITH』(1987)を発表し、プリンス並みの天才性を存分に示すことになる。当時の彼の勢いは本当に凄まじかった。


誰にも越えられない至高の男女デュオ──マーヴィン・ゲイ&タミー・テレル

 ところで、「Ain't No Mountain High Enough」っぽいと言えば、「I Knew You Were Waiting (For Me)」の1年ほど前に発表されたデヴィッド・ボウイの「Absolute Beginners」という曲(シャーデーも出演した同名ミュージカル映画の主題歌。'86年3月発売)もそんな感じだった。サビの出だしは以下のように歌われる。

  If our love song could fly over mountains
  Could laugh at the ocean
  Just like the films
 
  僕らの愛の歌が山を飛び越えていけるなら
  広い海をものともしないなら
  まるで映画のように


 高く飛翔するようなメロディもそれっぽいし(フレーズの構成──8小節でAAABと展開する──も似ている)、躍動するベースラインやタンバリン使いはいかにもモータウンくさい。デュエット曲ではないが、バック・ヴォーカルの女性がハーモニーを歌い、男女デュオ風になっている点もいかにもだ。時期的に見て、もしかするとこの曲は「I Knew You Were Waiting (For Me)」の作者であるサイモン・クライミー(英ポップ・デュオ、クライミー・フィッシャーの片割れ)とデニス・モーガン(米ソングライター)にインスピレーションを与えたかもしれない。

 ちなみに、「Absolute Beginners」は'86年3月22日付け全英チャートで最高2位まで上がっている。頂上まであと一息だったが、そのとき1位に居座っていたのは、「Ain't No Mountain High Enough」をレパートリーに持つダイアナ・ロスのスプリームズ調ソング「Chain Reaction」だった。

 '80年代は──特にイギリスのブルーアイドたちの間で──このようなモータウンの焼き直しがさかんに行われていた。もっとも、それは今でもあまり変わりないかもしれない。モータウンとは、いつでも誰もが仰ぎ見、そして越えようとする、ポピュラー音楽史にそびえる巨大な“山”なのである。



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