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Paul Nice - Sade Blends

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Paul Nice - SADE BLENDS
CD-R: no label/catalogue number, 2007

Intro / Keep Looking / Love Is Stronger Than Pride / I Couldn't Love You More / Jezebel / Cherish The Dre / Immigrant / No Ordinary Love / Sweetest Taboo / Never As Good As The First Time / Hang On To Your Love / Nothing Can Come Between Us / Kiss Of Life / War Of The Hearts / By Your Side


 ドラム・ブレイク集『DRUM LIBRARY』シリーズなどで世界中のヒップホップ・フリークに知られるNY出身の伝説のDJ/ヴァイナル・ディガー、ポール・ナイスが'07年にリリースしたシャーデーのブレンド・ミックス集。

 単純にビートをブレンドしただけのブートレグ・ミックスの類には個人的にあまり興味はないのだが、これは別格。シャーデーの名曲の数々と、精選されたヒップホップ・トラックの極上ブレンドが、ノンストップで繋がれていく恍惚の70分。ミックスに使用されているトラックは、ヒップホップ・ファンにはお馴染みの大ネタ系が多いのだが(マッシュアップ的でもある)、いずれもビートやサンプルの相性、調合のセンスが絶妙で、ニヤリとさせられたり、ハッとさせられたり、笑かされたり、とにかく盛り上がること請け合い。雑誌の読者投稿イラストのようなブート感溢れるジャケはともかく、完全ヒップホップ仕様で生まれ変わった“反則なシャーデー”が死ぬほど楽しめる名ミックスCDだ。


 「Siempre Hay Esperanza」「Jezebel」と声ネタをクイック・ミックスで繋いでいく「Intro」の軽いジャブに続けて、一発目は「Keep Looking」。これを冒頭に選ぶところもクールだが、そこにブレンドされているのがクリプス「Grindin'」(2002)のネプチューンズ・ビートで、いきなり見事に意表をついてくる。「Grindin'」は、個人的にプリンス「Sign 'O' The Times」(1987)から受けた衝撃を思い出させてくれる才気走ったミニマル・ファンクで、これが同時代のシャーデーの曲と重ねられているあたりに不思議な感動を覚えてしまう。これぞまさしくDJマジック。このツカミで私は完全に持っていかれた(どうでもいいが、『SIGN 'O' THE TIMES』と『STRONGER THAN PRIDE』のジャケはレタリングが似ている)。

 「Jezebel」+バスタ・ライムズ「Touch It」(2006)といった、(いい意味で)なんでやねん!的な展開の序盤に続き、ネタと抜群の相性を見せる「Cherish The Day」あたりからグッと本気度が増してくる。ブレンドされているドクター・ドレー「Xxplosive」(1999)は、エリカ・バドゥが「Bag Lady」(2000)で使ったネタというのがミソで、シャーデーとネオ・ソウルの繋がりまで感じさせて素晴らしい。これは正規リミックスで出して欲しいほどのハマり具合だ(曲名表記が「Cherish The Dre」になっているのはご愛嬌)。ジェルー・ザ・ダマジャ「Come Clean」(1994)の重く沈み込むループがPVの海底イメージを思わせる「No Ordinary Love」、EPMD「So What Cha Sayin'」(1989)の高音カッティング・ギター(元ネタはB.T.エクスプレス)とのブレンドがやたらマイルドな「Kiss Of Life」もこのCDのハイライトと言える出来で、『LOVE DELUXE』からの必殺シングル3曲はどれも大当たりだ(ちなみに、EPMDネタは「Kiss Of Life」~「War Of The Hearts」で連発されている)。

 個人的に最も盛り上がったのは、ランDMC「Sucker M.C.'s」(1984)でエレクトリック・ファンク化した「Never As Good As The First Time」(シングル版)。そこから、無理やりJB汁を擦り込んだ「Hang On To Your Love」(ボビー・バード、リン・コリンズを使ったビッグ・ダディ・ケイン「Raw」ネタ。笑える)、続けてディワリ仕様の「Nothing Can Come Between Us」(ルミディ「Never Leave You」ネタ)で突っ走る後半の見事な過熱ぶり。KRSワン「Uh Oh」(1993)とのブレンドがしみじみと味わい深い「By Your Side」の締めまで、確かなセンスと高度なスキルで全編通して飽きさせるということが全くない(実は、その後にシークレット・トラックで「Love Is Stronger Than Pride」の死ぬほどカッコいいミックスが収録されている)。


 ヒップホップに接近しても、決してソウルの王道を踏み外さないシャーデー。このCDには、そんなシャーデー姫を巧みに口説いてストリートに連れてきたような感動がある。私はコアなヒップホップ・リスナーではないので、残念ながらすべてのネタに細かく反応しながら楽しむことはできないが、とにかく、ヒップホップ好きならツボを突かれまくること間違いなし。シャーデーのブレンド・ミックスでこれを超える作品集を作ることは不可能だろう(続編を期待したい)。
 こんなシャーデーが聴きたかった、というフリークたちの夢を叶えるような、あまりにナイスなポール・ナイスの調合ぶり。DJスピナのシャーデー・ミックスも良いが、まずはこれを聴いてぶっ飛んで欲しい。


『SADE BLENDS』全曲試聴
Track 3 - Love Is Stronger Than Pride
Track 4 - Jezebel
Track 6 - Cherish The Dre
Track 13 - Kiss Of Life

| Sade Covers/Mixes | 22:31 | TOP↑

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