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Michael Kiwanuka──白い世界の黒人



 2ndアルバム『Love & Hate』から先行カットされたマイケル・キワヌーカのシングル「Black Man In A White World('16年3月29日発売)は、音楽ヴィデオとあわせて、今年聴いた中で個人的に最も印象深い曲のひとつだ。キワヌーカは、ラビ・シフレ、ビル・ウィザーズ、テリー・キャリア系のフォーキー・ソウルを聴かせるイギリスの歌手だが、この曲はそれまでのノスタルジックで穏やかな彼の作品とはちょっと様子が違っていた。

 タイトルからも窺い知れる通り、「Black Man In A White World」はアメリカの“Black Lives Matter”運動に呼応した曲である。黒人民謡風のブルージーな曲想はファレル・ウィリアムズ「Freedom」(2015)、痛烈な風刺が込められたモノクロの音楽ヴィデオはケンドリック・ラマー「Alright」(2015)に対するイギリスからの返答のように受け取れる。一見、自由に見えながら、実は全くそうでない世界に住む“僕”の絶望や疲労が表現された歌詞は、ここでもやはり“alright(大丈夫)”という言葉で結ばれる。

 ヴィデオを監督したのは、チャイルディッシュ・ガンビーノ、チェット・フェイカー、セイント・ヴィンセントらの作品を手掛けて幅広い音楽ファンから絶大な支持を得ているロサンゼルス在住の日本人クリエイター、ヒロ・ムライ。踊る黒人少年を使った演出は、彼の名を世界中に知らしめたフライング・ロータス feat. ケンドリック・ラマー「Never Catch Me」(2014)を彷彿させる。白眉は、穏やかな住宅街の路上で踊る少年の前で、黒い乗用車が突然、猛スピードで走る一台の特種用途車両に弾き飛ばされる場面。それを見た瞬間、マイケル・キワヌーカのやっている音楽が単なるヴィンテージ・ソウルでないことがはっきりと分かった。




 Black Man In A White World
 (Michael Kiwanuka/Dean Josiah Cover)
 
 沈んだり 浮かんだり
 ずっと勘違いをしていた
 もはや祈ることも
 言うこともない
 
 僕は白い世界の黒人
 僕は白い世界の黒人
 僕は白い世界の黒人
 僕は白い世界の黒人
 
 恋をしても物悲しい
 安らいでも浮かばれない
 毎日 毎晩
 無駄な努力をしている
 
 僕は白い世界の黒人
 僕は白い世界の黒人
 僕は白い世界の黒人
 僕は白い世界の黒人
 
 まるで堂々巡りだ
 ドアを叩く音がする
 まるで堂々巡りだ
 ドアを叩く音がする
 僕は何もかも失った
 別に怒り狂っちゃいないさ
 
 僕は白い世界の黒人
 僕は白い世界の黒人
 僕は白い世界の黒人
 僕は白い世界の黒人
 僕は白い世界の黒人
 僕は白い世界の黒人
 僕は白い世界の黒人
 僕は白い世界の黒人
 僕は白い世界の黒人
 
 僕が誰でもいい
 君が誰でもいい
 僕は間違ってない
 大丈夫さ 大丈夫さ
 大丈夫さ



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Laura Mvula @ Billboard Live TOKYO 2013(2013.07.04)(ローラ・マヴーラの'13年の来日公演の際、会場BGMでずっと流れていたのがマイケル・キワヌーカの1st『Home Again』だった。両者の2ndアルバムは'16年の英マーキュリー賞に揃ってノミネートされた)

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