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Benjamin Clementine、'17年9月に新作リリース



 ひと月前('17年5月30日)に久々の新曲「Phantom Of Aleppoville」を発表したベンジャミン・クレメンタインが、『At Least For Now』(2015)に続く2ndアルバム『I Tell A Fly』を'17年9月15日に発表することを明らかにした。新作発表が告知された6月26日には、昨年10月の強制撤去混乱が続くフランス北部の港町カレーの難民キャンプ──通称“ジャングル”──を題材にした新曲「God Save The Jungle(神よジャングルを護り賜え)」も発売された。これら2つの先行曲を聴く限り、新作は世相を反映しつつ、前作以上に演劇色を強めた実験的な内容になりそうだ。

 The Fader誌の6月26日付けウェブ記事に、ベンジャミンの最新インタヴューが掲載されている。2つの新曲と新アルバムについて語っているので、今回はそのコメントを紹介したい。


──新作に費やしたこの2年間はどんな感じでした?

「刺激を得るためにも、それまでとは違う環境に身を置こうと思ってね。結局、その期間はニューヨークで過ごしたよ。大統領選挙中のね。何人かいい友人もできたし、心機一転しようとニューヨークの街を歩き回ってた。そんなことを1年くらい続けてから、最終的にまた曲作りを始めて。それからロンドンに戻ってアルバムのレコーディングに取りかかったんだ」

──その期間、どんなことに触発されて曲作りを?

「もっぱら旅することだね。自分がその土地の人間ではない、単なる旅行者、つまり、エイリアン(よそ者、異邦人)だという感覚さ。僕がヨーロッパからアメリカへ行くときに取ったビザには、実際、“並外れた能力を持つエイリアン(An alien of extraordinary ability)”って書いてあったし。僕はいま起きていることについて書いてた。それが自分の言わんとしていることと重なったんだ。つまり、自分はエイリアンなんだ、という。別に礼儀知らずってことじゃなく、あちこち彷徨ってるという意味でね。現在の我々が立たされている苦境と通じるものがあるよ」

──新曲「God Save The Jungle」も、その“居場所がない”というテーマに言及したものですね。

「カレー(の難民キャンプ)から次々と報道が入ってきた。見るに堪えなかったよ。あの歌で言ってるのは、要するに“僕たちが人間ってやつなら、天を仰いで神様に助けを求めるしかないんじゃないの?”ってことさ。僕個人は神を信じてないけど、神を生み出したのが我々人間であれば、もう一度、天に行ってお願いすればいいじゃないかっていう。ひねくれてるかな? また会いに行って神に助けを求めりゃいいんだよ。だって、避難したがってる人たちを救おうという気が我々にはないんだからね。
 人にはそれぞれの不幸というものがある。そのことも僕は歌の中で言ってる。イギリスで暮らしてるからと言って、苦労がないわけじゃないんだ。家賃だって払わなきゃいけないし、朝早く起きてやるべきことをやらなきゃいけない。さもなきゃ、こっちだってそれこそ路頭に迷うことになるからさ。だから、バランスだよね。僕たちはみんなジャングルで暮らしてる。そこで誰か困ってる人を見つけて、助けてあげられるかもしれないと思ったら、助けてあげればいいんだよ」

I_Tell_A_Fly2.jpg

──今回のアルバムからもう1曲「Phantom Of Aleppoville」が公開されています。シリアのあの地区のどういった点に触発されたのですか?

「別にシリアに限った話ではないんだ。僕自身の人生のことでもあって、周り中からいじめを受けたことを歌ってる。……シリアの人たちのような経験をしていない自分は本当に恵まれてると思うけど、最終的にはひとつの問題に行き着くと思うんだ。いじめ、というね。アメリカ人もイギリス人も、人々をいじめる。あの歌になぜファントム(幽霊、怪人)が出てくるかと言えば、不可解なものだからだ。いじめというのは意味不明で、わけも分からないままに受ける。ゆえにファントムってわけさ」

──『I Tell A Fly』というタイトルの意味は?

「このアルバムは戯曲として書いた。2匹のハエが旅をしながら色んな発見をする話でね。見たこともない新しい動物に遭遇したり。その後、両者は別れる。僕は語り部として第三者の立場から2匹のハエのことを物語ってるんだ。アルバムのタイトルはそこから思いついたもので。もちろん、テーマはエイリアン(よそ者)だし──ハエがエイリアンなんだけど──見方によっては、カレーやアレッポのことなんかを織り交ぜてホラ話をしているとも言える。メディアが言うことはウソだと思ってる人たちがいるだろ。いま起きてることは全部ウソだとか。中には事実を歪曲して捉える人もいる。つまり、“I Tell A Fly(ハエを語る)”ってのは“I tell a lie(ウソを語る)”に引っ掛けた駄洒落なんだ。だけど、2匹のハエの話でもあるっていう」

──このアルバムをどう受け止めてもらいたいですか?

「みんなにこのアルバムを聴いて欲しい。ありとあらゆる人にね。気に入ってもらえなくてもいい。たくさんの人に自分の音楽を聴いてもらえれば最高さ。まあ、僕はちょっと変わったものを聴かせたいんだよ。すごく実験的になったから、1stほど受けは良くないかもしれないけど、僕は誇りに思ってる。これで満足さ」


 新作『I Tell A Fly』は以下の11曲を収録。

01. Farewell Sonata
02. God Save the Jungle
03. Better Sorry Than a Safe
04. Phantom of Aleppoville
05. Paris Cor Blimey
06. Jupiter
07. Ode From Joyce
08. One Awkward Fish
09. By the Ports of Europe
10. Quintessence
11. Ave Dreamer

 アルバムの発表に伴い、ベンジャミンは6月10日の仏音楽フェス〈We Love Green〉への出演を皮切りに、〈The Wandering Tour〉と題した世界ツアーを開始。公式サイトによると、6〜8月のフェス廻りの後、今年12月までヨーロッパ〜イギリスを中心に公演が予定されている。現時点で日程に空きがある9〜10月頃に来日してくれたら最高なのだが(できればビルボードライブあたりで)……無理かあ。



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