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 前回記事“★★★★★★★”のおまけ。




 Winter Sweater
 (Kenich Asai)
 
 Holding a toy gun, I pulled the trigger aiming at the television
 Nevertheless, the news guy kept talking to the whole nation
 
 B-52 bomber armed with nuclear bombs missing near the North Pole
 Holding a toy gun, I pulled the trigger just to give my head a hole
 
 Holding a toy gun, by the window looking down on the alley
 The smell of winter got my cheeks so chilly
 
 For so cold and long this winter will be
 I gotta wear a sweater that grandma knitted for me
 
 Holding a toy gun in my hand, I shot my head
 Then fell down to my bed for fun, pretending I was dead
 
 For so cold and long this winter will be
 I gotta wear a sweater that grandma knitted for me
 
 For so cold and long this winter will be
 I gotta wear a sweater that grandma knitted for me
 
 (Interpreted by Abeja Mariposa)


 前回、「★★★★★★★」を紹介したときに埋め込んだ動画が尻切れトンボで気持ち悪かったので、その続きをここに。「★★★★★★★」の後、彼らはこの曲を演奏している。『Dog Food』という彼らのライヴ・ヴィデオの映像である('92年2月12日、渋谷公会堂にて収録)。詞の内容は上の通り。しつこいようだが、私は英語で大意を示しただけで、決して歌詞を翻訳しているわけではない。元の日本語歌詞はうたまっぷオリコンのサイトでどうぞ。

 以前、このバンドを知っている年下の知人──氣志團のファンだった──と話しているとき、“ギター、まじハンパないっすよね。でも、浅井さんの詞、意味わかんないんすもん”と言われて、“ああ、そうか”と思った。聴く人によっては、彼の詞には確かに難解に感じられるところがあるかもしれない。この歌は分かりやすい部類に入ると思うが、もしかすると、核弾頭を積んだ爆撃機が北極付近で消息を絶った話と、おばあさんの手編みのセーターを着ることの関係が腑に落ちないのではないか(その展開の唐突さ、対比の極端さこそ、この歌の肝でもあるのだが)

 この歌の主人公は『タクシードライバー』の主人公トラヴィスとよく似たタイプの青年である。彼は孤独で、非常に鬱屈した気分でいる。人間はあまりにも無責任で、世界は腐りきっているからだ。彼の心も荒む一方だが、それでも彼は人間のささやかな愛を信じようとする。おばあさんの心の温もり(手編みのセーター)が彼を生かし、殺伐とした冷たい世界(冬)から彼を守るのである。“ことしの冬はとても寒くて長いから”という一節は、放射能汚染や核戦争を暗示しているようにも読める。手編みのセーターで放射能が防げるだろうか? 彼はいずれ狂うかもしれないが、少なくともこの時点では、その一歩手前で踏みとどまっている。歌唱や演奏が極度に緊迫しているのは、主人公の精神がそういう危うさを孕んでいるからである。


Winter_Sweater2.jpg
Live!!! (1992)

 私は彼らのコンサートに一度だけ行ったことがある。'94年6月25日、場所はクラブチッタ川崎。その日は昼夜2回ショウがあり、私が観たのは夜の部だった。客電が落ち、オープニングBGMとして〈セサミ・ストリート〉のテーマが爆音で流れたことをよく覚えている。私は「悪い人たち」「鉄の月」といった彼らの叙情的で文学色の強い大曲を期待していたのだが、その晩のクラブ公演は荒削りなアップ・ナンバーを中心にした非常にロックンロール色の強い内容だった。私はフロアの真ん中あたりで、周囲の暴れる兄ちゃんたちを必死によけながらステージを眺めていた。私が日本のロック・バンドのコンサートに行ったのは、後にも先にもその一度きりである。私がCDを購入したことがある日本のロック・バンドも、彼らだけだ。日本のロック・バンドと言えば、私は彼らしか知らない。

 テレビ番組〈イカ天〉を経て'91年にデビューしたこのバンドは、'94年の『幸せの鐘が〜』という長ったらしいタイトルのアルバムで一度臨界点に達し、以後はカンフル剤を打ちながら'00年の解散まで騙し騙し活動を続けた。私が彼らの熱心なファンだったのは、その『幸せの鐘が〜』というアルバムまでで、以後はアルバムが出るごとに熱が冷めていき、'00年に解散する頃には、ほとんど彼らに興味をなくしていた。その後のメンバーの活動も全く追いかけていない(AJICOは好きだったが)。今回、ブログ記事を書くにあたり、10数年ぶりに彼らの2ndアルバム『Bang!』(1992)を棚から引っ張り出した。聴きながら、まるで古い日記でも読むような居たたまれない気分になった。ちっとも懐かしくない。

 上掲の『Live!!!』は、'92年5月4日の渋谷公会堂公演を収録した彼らのライヴ盤。棚を漁りながら思い出したが、このCD、20数年前に友達に貸したきり、ずっと返ってこないままだ。その友人S──プリンス・ファンだった──とも20数年会っていない。彼は元気でやっているだろうか……。

 私信。Sよ、そのCDあげるわ。


TO BE CONTINUED...

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