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The Jacksons @ The Rainbow Theatre 1979

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マイケルの手、長ぇ~!

 改めて、明けましておめでとうございます。
 2010年、正月──皆さんはどのように過ごされたでしょうか。
 
 正月と言えば、初詣に行く、お節料理を食べる、餅を食べる、凧を揚げる、羽突きをする、と日本人は色々と忙しいですが、それらの一般的な正月ルーティンの他に、私には毎年必ずやることがあります。それは……ジェイムズ・ブラウンの'71年3月パリ、オランピア公演のライヴ映像を鑑賞することだ。

 '71年オランピア公演映像は、残念ながら未だオフィシャル発売されていないが(音源は『LOVE POWER PEACE』として既発)、ファンはよくご存じの通り、JBの数あるライヴ映像の中でも最強のものである。私が今までの音楽ファン人生の中で観てきたどんなアーティストのどんなライヴ映像も、これには敵わない。オリジナルJB'sを従えたJBの尋常でないパフォーマンスに加えて、この映像はカメラ/編集も驚異的に素晴らしく、最高のステージを最高の形で記録した、とにかく神憑り的なライヴ映像になっている。これを観ていると、私は何が起きても笑い飛ばせるような気になる。ある意味、非常に危険な映像とも言える。

 今年の正月も、私は炬燵に入ってミカンを食べながらこれを鑑賞した。なぜ正月に観るかと言うと、何となく縁起がいい感じがするし、同時に、それによって新たな1年を生きる英気を養うことができるからである。別に正月でなくとも観ることはあるが、私はこの“正月JB”を'07年から意識的に行っている。

 で、新春特別記事として、JBのこの'71年オランピア公演の映像を紹介しようかと思ったのだが、実は今年の正月、私はJBと二本立てで、ジャクソンズの'79年レインボー・シアター公演の映像も鑑賞した。ジャクソンズのこのライヴ映像もとんでもなく素晴らしいので、昨年からのマイケル特集の流れで、今回はこちらを取り上げることにしたい。現在入手し得るマイケル・ジャクソンのフル・コンサート映像の中では、私はとにかくこれが最高だと思っている。


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THE JACKSONS: THE DESTINY TOUR
Venue: Rainbow Theatre, London, England
Date: 6-9 February 1979
Performance: Intro - Dancing Machine / Things I Do For You / Ben / Keep On Dancing / Medley: I Want You Back - ABC - The Love You Save / I'll Be There / Enjoy Yourself / Destiny / Show You The Way To Go / All Night Dancin' / Blame It On The Boogie

Personnel: Michael Jackson (vocals), Jackie Jackson (vocals), Tito Jackson (guitar, vocals), Marlon Jackson (vocals), Randy Jackson (vocals, percussion, keyboards), Michael McKinney (bass), unknown (drums), unknown (guitar), unknown (keyboards)

 '78年12月17日発売の最高傑作『DESTINY』を引っ提げ、ジャクソンズは'79年1月からコンサート・ツアーを開始した。1月22日のドイツ、ブレーメン公演から始まり、スペイン、オランダ、イギリス、フランス、アフリカを廻った後、4月に北米に上陸。'79年12月18日のロサンゼルス公演まで、約1年間も続いた大規模な世界ツアーである。

 この'79年〈DESTINY〉ツアーは、6月9日のワシントン公演で一旦中断し、マイケルのソロ・アルバム『OFF THE WALL』の発表('79年8月10日)を挟み、10月2日のニューオーリンズ公演から内容を大幅に変更して再開される。再開後の後期ツアーでは、「Off The Wall」「Rock With You」「Don't Stop 'Til You Get Enough」といったマイケルのソロ・ナンバーが組み込まれた上、バンド・メンバーもベーシストを除いて一新され、更に4名のホーン隊も加えられた。要するに、ソロで成功したマイケルを前面に立てて、より華やかなステージに変わったのである。

 ここに紹介するのは、まだショウが再編される前の前期〈DESTINY〉ツアー、ロンドン、レインボー・シアター公演の映像。マイケルがまだグループのリード・シンガーとして普通に収まっていた時代の最末期のステージである。イギリスでは'79年2月に全19公演が行われ、その幕開けがこのレインボー・シアター公演だった。2月6~9日の4日連続公演。コンサートをほぼ完全収録したこの映像(収録日不明)は、BBCによって撮影され、日本ではかつて東映ビデオから発売されてもいた。カメラの台数やアングルの種類も豊富で、当時としては余裕で及第点を越えるクオリティ。コンサートの熱気が鮮やかに捉えられた最高のライヴ映像である。


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「Dancing Machine」──マイケルの所作はずば抜けてシャープで美しい(画像左)。他の2人に較べて腰が据わり、重心が安定している。マーロンなどドジョウ掬いをやっているように見えるぞ

 インストのイントロを経て、コンサートは「Dancing Machine」で勢いよくスタート。ステージ中央に、左からマーロン、ジャッキー、マイケルが並んでマイク・スタンドに向かう。ティトは左端でギターを弾き、ランディは右端でコンガを叩く。マイケルは序盤から切れたスピンやステップを連発し、会場を一気に盛り上げる(マイケルの映像を観ていていつも思うことだが、彼ほど美しくスピンするダンサーが他にいるだろうか? 私の最も好きなマイケルのダンス・ムーヴがあのスピンだ)。「Dancing Machine」は間奏でのマイケルのロボット・ダンスが見もの……なのだが、この映像では肝心のところで兄弟たちの足下を映すスロー映像がオーバーラップされ、マイケルのダンスをよく観ることができない(ストロボ照明のせいでマイケルの姿が見えにくいため、このような処理がされたのかもしれない。このライヴ映像の編集でストレスを感じるのはこの一箇所だけ)。この日の「Dancing Machine」、4拍目で終わるはずのエンディングのタイミングをドラムが間違えて、中途半端な終わり方をしてしまう。一瞬、間が悪くなるが、すかさず観客に元気に挨拶してミスを取り繕うマイケルの迅速な対応が良い。

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「Things I Do For You」(左)「Ben」(右)

 サビで観客を指差す振付がキマる新曲「Things I Do For You」(ブレイクダウン部分でランディのコンガが活躍)に続き、3曲目は「Ben」。マイクを高々と掲げて歌い、ソロで発表された名曲をしみじみと聴かせる。他の兄弟が全く活躍しないマイケルの独擅場ではあるが、後年のジャクソンズのツアーのように、ショウの中でマイケルの存在感だけが突出するようなことはなく、飽くまでリード・シンガーのソロ・コーナーといった趣で、さらりと進行するところが良い。

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「Keep On Dancing」──ロボット・ダンスをするマイケル(左)

 「Keep On Dancing」は、まず冒頭で披露されるロボット・ダンスが強烈。テンポアップしてからの後半では、ティトとサポート・メンバーによるギター・ソロ、ランディによるコンガ・ソロがフィーチャーされる。サポートの白人ギタリストのおっさんは、10年前のジョン・レノンのような風体で、ステージ上ではルックス的に明らかに浮いている。オリジナル版以上にロック的な展開を見せるこのパフォーマンスには、後の「Beat It」の萌芽とも言うべきものが確認できる。

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「The Love You Save」(左)「I'll Be There」(右)

 続いてお馴染みのジャクソン5メドレー。まず「I Want You Back」「ABC」「The Love You Save」。アフロ・ヘアが変形するマイケルの熱さにぐいぐい引き込まれる。ジャクソン5メドレーは、'81年〈TRIUMPH〉ツアーを最後に、'84年〈VICTORY〉ツアーから最後の〈THIS IS IT〉リハまで、ずっと「ABC」を端折った短縮版で披露されたが、やはり「ABC」が入ったヴァージョンこそ最高である。
 続けて歌われる「I'll Be There」では、歌い出しで客席から大きな歓声が上がり、サビではやはり大合唱になる。兄弟の絆を強調する後年のパフォーマンスに較べると随分あっさりしているが、ここでは逆に、兄弟と一緒にこの曲を歌うマイケルのいかにも普通っぽいパフォーマンスが魅力的だ。

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「Enjoy Yourself」(左)「Destiny」(右)

 「Enjoy Yourself」は当時の彼らの良さが自然に発揮されたパフォーマンス。この曲にはブリッジ部分でジャッキーのソロ歌唱があり、彼の生き生きとした表情がとても印象的だ。横向きに一列に並んで首をキツツキのように動かす振付は、後に「Shake Your Body」に引き継がれた。
 新作の表題曲「Destiny」は、バラード調のヴァースとロック調のサビの対比が鮮やかな名曲。先の「Keep On Dancing」同様、サポート・ギタリストの周りでエア・ギターを弾く兄弟たち。マイケルの熱唱にもかかわらず、マーロンの過剰にギンギンな大股開きがなぜか最大のハイライトになっている。

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「Show You The Way To Go」(左)「All Night Dancin'」(右)

 「Show You The Way To Go」は、このコンサートの最高の瞬間のひとつ。スムーズで甘美な楽曲自体も最高だが(「Blame It On The Boogie」に次いで個人的に最も好きなジャクソンズの曲がこれ)、この曲ではマイケルが観客に手拍子と合唱を促し、会場が素晴らしい一体感に包まれる。サビを引っ張りながらのアドリブ歌唱も冴えている。マイケルの客の乗せ方の上手さがよく分かるパフォーマンス。このライヴ映像の優れている点は、きちんと客席の音声を拾っていて、このような合唱場面になるとミックスできちんと観客側の音量を上げるところだ。客席側からステージを捉えるオーディエンス撮りのような映像も挿入され、まるで会場にいるような臨場感が味わえるのが素晴らしい。これを観ていると、本当にいつまでも浸っていたい気にさせられる。ここで感じられるようなアットホームな雰囲気は、ガチガチに構成を固めた後年のマイケルのスタジアム・コンサートでは残念ながらほとんど失われてしまう。
 会場がホカホカに温まったところで、アップテンポのロッキン・ソウル「All Night Dancin'」。宙に投げたマイクをキャッチしながらスピンするマイケル。やたら切れ切れな動きが最高。フルスロットルのパフォーマンスを見せたところで、“グッドナイト!”の挨拶と共にコンサート終了。画面にエンド・クレジットが流れ、そのまま終わりかと思いきや、クレジットが流れ終わったところでアンコール「Blame It On The Boogie」が始まる。これは粋な編集だ。

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「Blame It On The Boogie」──マイケルがこんな近くに!

 オーラスの「Blame It On The Boogie」、これが涙が出るほど素晴らしい。会場は総立ちで大合唱。“I just can't control my feet!”と歌いながらリズムの奴隷と化すマイケル。JB譲りのステップの切れ具合も半端でない。とにかく圧倒的である。ステージ袖まで駆けて客を盛り上げ、後半ではヘルメットを被って踊りまくる。兄弟全員でステージ際まで行って観客と触れ合う姿は、後年のコンサートでは考えられない光景だ。アンコール曲「Blame It On The Boogie」は、後期〈DESTINY〉ツアーでは「Shake Your Body」に替えられたようで、以後、マイケルはこの曲をステージで歌わなくなってしまう。レコード会社からあてがわれた外部ライター作品で、半ば他力本願的なヒット曲だったことがその大きな理由だと思うが(作者ミック・ジャクソン自演版と同時期に発売され、どちらもヒットした)、音楽の化身=マイケルの魅力が全開になった大傑作ナンバーであるだけに、本当に残念なことである。〈THIS IS IT〉で取り上げられたら私は間違いなく狂い泣きしていたが、結局、最後までこの曲が復活することはなかった。

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「Blame It On The Boogie」──マイケルに花を渡す少女

 「Blame It On The Boogie」の映像ではちょっとしたドラマがある。観客席の最前列中央に花を持った白人の少女がいて、それをずっとマイケルに渡したがっているのだが、なかなかタイミングが訪れない。どうなるかと思って眺めていると、彼女に気付いたマイケルが、曲の終盤でちゃんとそれを受け取るのである。花を受け取った後、マイケルと彼女が手を伸ばして一瞬触れ合う場面はなかなか心温まるものがある。


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ジャクソンズのコンサートに集まった人々

 ジャクソンズのコンサートの客層は幅広い。客席には、白人、黒人、老若男女、様々な種類の人々が見られる。BBCの撮影班は、しっかり彼らの様子も捉えている。レインボー・シアター公演映像で、ジャクソンズのパフォーマンスと同じくらい感動的なのが、実はこの観客席の様子なのである。

 '09年6月26日のエントリーでも書いたが、4日間行われたジャクソンズのこの'79年レインボー・シアター公演をシャーデー・アデュが観ている。彼女は当時、ファッション・デザインを学ぶためにロンドンのセント・マーティンズ美術学校に通っていた。レインボー・シアターがあったフィンズベリー・パークには、彼女が週末にアルバイトしていた飲食店もあったらしい。

 この時のジャクソンズのコンサートを回想して、アデュは後にインタヴューでこう話している。

「ステージのパフォーマンス自体よりも、観客の方に魅了された。若者、親子連れ、年輩の人、白人、黒人……あらゆる層がショウを楽しんでいた。すごく感動したわ」(6 November 1994, The Magazine)

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ジャクソンズのショウを楽しむ観客たち

 シャーデーのコンサートにおいても、ジャクソンズのコンサートと全く同じような客席の光景を見ることができる。そこでは、人種、性別、年齢に関係なく、様々な人々が本当に幸福そうな表情で、それぞれ思い思いにひとつのショウを楽しんでいる。シャーデーの'01年ツアーの模様を収録したライヴ映像『Lovers Live』を観たことがある人は分かると思うが、そこで観客たちが見せる表情は、ステージ上のシャーデーのパフォーマンスと同じくらい感動的である。ジャクソンズのように幅広い層の観客を自分たちも集めていることについて、アデュは“それが私たちの一番の成果かな”と語っている。

 人種差別、貧困・飢餓、エイズ、環境破壊など、マイケルは私たちが世界規模で抱える問題について歌い、最後までシリアスにメッセージを発し続けていた。コンサート・ツアーの際は世界各地で積極的に小児病院などを慰問して廻り、また、公的あるいは私的に様々な慈善事業団体に多額の寄付も行っていた(彼は“最も慈善活動を行ったポップ・スター”としてもギネスに載っている)。彼自身、世界中の恵まれない子供たちを援助する“ヒール・ザ・ワールド基金”を設立していたことも割に知られた話だろう。

 マイケルが行った慈善活動はもちろん素晴らしいものであるし、実際、そうした活動を列挙して彼の偉大さを称える文章もよく目にするのだが、私がマイケルの偉大さを心底痛感するのは、例えばこのロンドン公演映像で見られるような、彼のコンサートの客席の光景を目にした時である。マイケルがいなければ、彼らは決してひとつの時間と空間を共有することはなかった。異なる人種、階級、世代に属し、互いにさして接点を持たないはずの人間同士が、マイケルのショウを通じて「隣人」となる。あらゆる種類の人々をひとつに結びつけるマイケルの力。もちろん、それですぐに世界が良くなるわけではないが、しかし、世界というものは、こういうことの無数の積み重ねによって変わっていくものなのだと私は思う。この映像を観ていると、私にはマイケルが本当に魔法使いのように見える。


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 『DESTINY』は、ジャクソンズがプロデュース/作詞作曲を自分たちの手で行い、アーティストとして初めて主導権を握ったアルバムだった。「Blame It On The Boogie」「Shake Your Body」の大ヒットも生まれ、それまで人気停滞気味だった彼らにとって大きな飛躍となった決定的傑作である。このライヴ映像では、ステージのドラムセットの後ろに、ジャクソン兄弟たちが設立した会社、Peacock Productionsのトレードマークである孔雀のイメージが掲げられているが(『DESTINY』裏ジャケにも描かれていた)、このあたりにも当時の彼らの強い結束と勢いが感じられる。

 ここには、ただステージに登場するだけで聴衆を熱狂の渦に叩き込むような無敵のキング・オブ・ポップ、マイケルはまだいない。他の兄弟たちと一枚岩になって懸命に観客を楽しませる20歳の青年マイケル。'80年代以降のスーパースター時代のライヴ映像も良いが、彼の死や『THIS IS IT』をきっかけにファンになった人には、是非、普通のコンサート・ホールで派手な演出もなしに観客を魅了するこの'79年のマイケルの姿を観て欲しい。エンターテイナーとしての彼のピュアな魅力に溢れた、本当に最高のステージである。

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 ちなみに、'79年の前期〈DESTINY〉ツアーは、オランダ、アムステルダム公演の録音も残されている。アムステルダム公演は、ロンドン公演の直前に当たる'79年2月1~2日と、イギリス・ツアー直後の2月26日の計3回行われた。出回っているのは2月1日の録音(26日説もあり)。セットリストは以下である。

THE JACKSONS: THE DESTINY TOUR
Venue: Carre Theatre, Amsterdam, Netherlands
Date: 1 February 1979
Performance: Dancing Machine / Things I Do For You / Ben / I Am Love / Keep On Dancing / Medley: I Want You Back - ABC - The Love You Save / I'll Be There / Band Introduction / Enjoy Yourself / Destiny / Show You The Way To Go / All Night Dancin' / Blame It On The Boogie

 この音源を聴くと、レインボー・シアター公演映像では、「I Am Love」(マーロンがリード担当)と、インスト演奏に乗せて行われるメンバー紹介部分(マーロンが紹介役担当)がカットされていることが分かる。メンバー紹介ではサポート・メンバーも全員紹介されるが、ギター、ドラム、キーボード奏者の名前はよく聞き取れない(分かる人は教えて欲しい)。

 '79年10月からの後期〈DESTINY〉ツアーでは、マイケルがいよいよ『OFF THE WALL』のナンバーを歌うようになり、それはそれで良いのだが、私はとにかくこの前期〈DESTINY〉ツアーこそが最高だと思っている。


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 さて、以下はシャーデー・ファンのための余談。
 
 今回紹介したジャクソンズのレインボー・シアター公演の映像に関して、私にはひとつずっと気になっていることがある。シャーデー・アデュがこの時の公演(4日間のうち少なくとも1日)を観ていることは先述した通りだが、実は、このライヴ映像で映る観客の中にアデュによく似た女性がいるのである。

 「Blame It On The Boogie」の最中、マイケルがステージ袖に走る場面で、最前列付近の客席の様子が真横からのアングルで映るのだが、そこでアデュ似の黒人女性が画面中央に登場する。実際にその場面を静止画でじっくり見てもらいたい。

 アデュ似の女性客

 引っ詰めた髪、広いおでこ、肌の色の濃さ(というか、薄さ)、背丈の感じなど、よく似ている。当時、アデュは20歳になったばかりである。'79年2月の彼女が一体どのようなルックスをしていたのかは不明だが、基本的には後の印象とあまり変わりないのではないかと思う。
 このアデュ似の女性客は、実は、先述した“マイケルに花を渡す少女”のすぐ後ろの2列目付近にいる。
 
 アデュ似の女性客(別アングル)

 画面左から、白人青年、白人少女、黒人青年、花を渡す少女が並んでいる(黒人青年は花を渡す少女の友人、あとの2人は彼女の兄妹のように見える)。アデュ似の女性は白人青年のすぐ後ろにいる。

 どうだろう。私はこのライヴ映像を観る度にこれが気になって仕方ない。彼女がジャクソンズの大ファンだったという話は聞いたことがないし、こんな良い席で観ているのはおかしい気もするのだが……。もし仮にアデュ本人だったとしたら、これはちょっとスゴいことである。

 この真偽ばかりはさすがに本人しか知り得ない。もしアデュに会ったら、私はとにかくこの映像を見せて、“これはあなたですか?”と訊いてみたい。



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