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The Wanda Sykes Show [February 2010]

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THE WANDA SYKES SHOW
Broadcast: 20 February 2010 (US)
Performance: Smooth Operator (super short snippet)
Cast: Sade Adu (herself), Wanda Sykes (herself)

 毎週土曜23時にFoxで放送されている〈The Wanda Sykes Show〉に出演。女性コメディアンのワンダ・サイクスがホストを務める1時間のトーク・バラエティ。バンドではなく、シャーデー・アデュのみの単独出演で、しかも、VTRで番組ホストとコミカルなやりとりを繰り広げるという、極めて特殊なケース。アデュの知られざるコメディエンヌぶりが楽しめてしまう、ファンにとってはスペシャル・ボーナス的なお宝テレビ映像である。


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 ワンダ・サイクスはシャーデーの大ファン。彼女は自分の番組にシャーデーが出演してくれることを熱望していた。しかし、めったに公の場に姿を現さないシャーデー。そこで、ワンダはシャーデーの気を引くために、ある作戦を敢行することにしたのだった。

作戦1:テレビ局の駐車場にシャーデー専用のVIP駐車スペースを用意(ワンダの助手が駐車場で空きスペースを探すが、見つからないので、誰かのスペースを勝手にシャーデー専用に変えてしまう。“シャーデー専用──あんたじゃないよ!”という看板を立てて準備完了)

作戦2:シャーデーが馬好きであることに注目し、彼女のために特別な仔馬を用意(と言っても、本物の馬ではなく、人間が中に入った着ぐるみの馬もどき)

 ワンダは1月16日の放送回で着ぐるみの馬を紹介し、番組に来てくれるようシャーデーに向けて呼びかけを行っていた。そうして迎えた2月20日の放送。以上の経緯を一通り振り返った後、“これでシャーデーがやって来ないはずがありません。やっぱりそうでしたよ。ご覧下さい”というワンダのMCに続き、驚きのVTRが始まる。シャーデーは本当にやって来たのだった。

 VTR映像は〈Jimmy Kimmel Live〉(他局)への出演があった2月16日の昼間(という設定)。シャーデーがテレビ局に車で乗りつけると、レッド・カーペットが敷かれた彼女の専用駐車スペースには、例の馬もどきが……。

 ここでシャーデーは、“イギリスのクールな歌姫”という一般イメージ通りのキャラをコミカルに演じている。熱狂するワンダと、どこまでも冷めた態度のシャーデー、というコントラストが笑いどころ。以下、両者のやりとりを分かる範囲ですべて訳出していく。


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シャーデー(S): ほら、おウマ。ここはあたしの場所よ。手こずらせないでちょうだい。さあ、どいた、どいた。(と、ウマの尻をペンペン叩き、自分専用の駐車スペースから追い出す)

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(専用スペースに車を停めるシャーデー。そこにワンダ登場)

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ワンダ(W):まあ、どうしましょ、シャーデーだわ。来てくれると思ったのよ! アタシの番組に出るために来てくれたんでしょ?!
S:ワンダ、駐車場を使わせてもらいに来たんだけど……。
W:この駐車場、あなたに出演してもらえるように用意したのよ!
S:あたし、てっきりお返しは要らないものだと思って。ただ気前良く貸してくれたのかと。
W:大ファンなの。昔から大好きなの。あなたが番組に来てくれるように用意したんだから!
S:来たらラバが立ってたんだけど。
W:ラバ?
S:ラバより言うこと聞かないやつがね。
W:立派な種馬のことでしょ、立派な……。
S:いいえ、あたしの場所からちっとも退こうとしない、凶暴で重たいモジャモジャだわ。
W:わかった、あのラバは始末しておくわ。そうしてやるわ。
S:どうも。

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W:さあ、中に入ってよ。一緒に番組をやりましょうよ!
S:悪いけど、ジミー・キンメルの番組まであと30分しかないのよ。
W:ジミー・キンメル?!
S:それから……(聞き取り不能 *1)。靴も取りに行かなきゃいけないし。あたし、急いでるの。
W:靴? ジミー……? あの、知ってるかしら、シャーデー、アメリカじゃ今、黒人歴史月間なのよ。だから、ほら、ジミー・キンメル(白人)の番組に出て、アタシの番組に出ないってのは、ちょっとマズいんじゃなくて?
S:あたしの相手はハーレム出身よ(*2)
W:じゃ、しようがないわね。で、靴って? いつから靴を履くようになったの(*3)
S:新調したの。(靴を見せながら)どう? だめ? とにかく、あたし、行かなくちゃ。
W:ちょ、ちょっと、シャーデー、お願い! 1曲! 1曲でいいから。ニュー・アルバムから何か!
S:何かって……「Soldier Of Love」?
W:じゃなくて。
S:「Be That Easy」?
W:違う、違う。
S:あたし、行くわ。10年後に会いましょ。
W:次のアルバムの曲を! お願い、10年も待てないわ! ここまで来てそりゃないわ~(*4)、シャーデー! アタシ、待てない……。

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S:大丈夫よ。その靴、直しなさいね。
W:そうなのよ、ちょっと聞いてちょうだいな。アタシ、CDプレーヤーに駆け寄ったのよ。あなたのCDをかけようとして。そしたら、コケちゃって……。(片足だけサンダル履きで、痛そうに引きずっている)
S:あたしのCD、買ったの?
W:そうよ。
S:買った?
W:ええ、もちろん。
S:ウソだわね。焼いたんでしょ。
W:ええっ? シャーデー、なんてことを! アタシがCDを焼いただなんて!
S:そうなんでしょ。
W:そんな……それが熱烈なファンに対する英国流の物言いなの?
S:いいえ、ワンダ。音楽を盗む人に対する英国流の物言いよ。
W:シャーデーの音楽を、盗む、ですって?
S:パチるわけ。
W:パチる? そんなことするもんですか。アタシ、6枚は買ったもの。
S:そこまでファンじゃないくせに。
W:もう~、そんなつれないこと言わないでよ、シャーデー!

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S:悪いけど、まずいことになるから。このままじゃジミーにどやされちゃう。
W:アタシがジミー・キンメルのケツを蹴り上げてやるわ!
S:その片足で?
W:そうさ、この足で蹴ってやるとも!
S:着いたら彼にそう伝えておくわ。
W:ちょ、ちょっと、何か口ずさんで。お願い、何でもいいから。さわりだけ。
S:エヘン……♪ Smooth Operator~(と、わざとらしい調子で一節だけ歌う)
W:(絶句)
S:じゃ、そういうことで。(立ち去る)

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W:(ひっくり返って)よっしゃ! よっしゃ! 2020年に会いましょう~!
S:2020年にね。
W:愛してるわ!
S:あたしもよ。そこそこにね。
W:よっしゃー!


*1 “小さい男の子とポッドキャストをやる”とか言っているようにも聞こえるが、不明。
*2 My boy's from Harlem──*1の“男の子”を指しているように思われるが……ともかく、先約の相手が“ハーレム出身”と言うことで、黒人歴史月間(毎年2月)に託けたワンダの説得を退けている。
*3 シャーデーが裸足でステージ・パフォーマンスを行うことを踏まえた発言。
*4 I'm at the hinterland of my good days──「Soldier Of Love」の一節、“I'm at the hinterland of my devotion”をもじっているのが可笑しい。


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 結局、他の番組に出るために車を停めに来ただけのシャーデー。いかにもイギリス人らしい、すっとぼけたキャラがいい感じだ。
 
 日本のバラエティ番組でも、この手の擬似ドキュメンタリー風のVTRシークエンスはよくある。普段、全くバラエティ番組に出ない大物歌手がサプライズ出演し、ちょっとした演出でタレントや芸人と絡む様子を想像すれば分かりやすいかと思う。私の知る限り、シャーデー・アデュがこのような形でバラエティ番組に登場したことは、これまでに一度もない。しかも、活動ペース自体が(ネタにもされているように)10年に一度レベルなので、これは本当にレアだ。

 アデュはインタヴューでもよくユーモアを交えた受け答えをするが、実際、こういうお笑いも結構好きそうである。イギリスで深夜トーク・バラエティ〈Diamond Night with Sade〉が始まる日も遠くない?!

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